生体発光・磁気共鳴融合画像システムの改良と腫瘍モデル動物実験への応用を行った。画像歪みが少ない領域を使用してCCDカメラおよびMRIで撮影する方法を開発し、蛍光およびMRIで描出される点マーカーの座標に基づいて自動的にピクセルサイズ調整および位置合わせを行ってMRIの全スライスと生体発光画像を融合して表示するソフトウェアを作成した。マウスに多数のマーカーをつけて蛍光画像法とMRIで撮影して、位置合わせが良好に行えることを確認した。皮下移植腫瘍の発光とMRI上の腫瘤の位置はよく一致した。肝に腫瘍細胞を接種して生体発光・磁気共鳴融合画像で追跡すると、肝および腹腔内に結節を形成した。生体発光画像だけでは明らかでなかった発光の由来臓器・病変が明らかになり、一方、MRI単独では指摘できなかった結節を指摘でき、判定の正しさが屠殺後に確認された。融合での評価に適した高画質のMRIを撮影するために、簡便な食事前処置法を確立し、三次元表示やアーチファクト軽減に有用なことを示した。小型三次元格子ファントムデータに基づくMRIの歪み補正ソフトウェアを作成し、マウス撮影時の歪みを撮影部位に関わらず良好に補正でき、全身の融合画像による評価に有用なことを示した。また、光画像による腹部深部の評価に圧迫法が有用なことを示し、深部病変も融合画像で評価可能にした。これらの成果は、マルチモダリティイメージングによる非侵襲的で詳細な腫瘍モデルマウスの病態評価に寄与し、特に治療介入を伴う前臨床試験の信頼性を向上させると期待される。
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