研究課題/領域番号 |
18390333
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 靖 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10228033)
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研究分担者 |
光森 通英 京都大学, 医学研究科, 講師 (10263089)
溝脇 尚志 京都大学, 医学研究科, 講師 (90314210)
成田 雄一郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (30311385)
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キーワード | 四次元計画 / 放射線治療 / 画像誘導放射線治療 / 呼吸同期 / 四次元CT |
研究概要 |
定位放射線照射技術に関連して本年は以下の研究を行った。 (1)まず四次元治療計画システムの開発を行った。具体的には、既に導入されたMultiple Detector-CT(MDCT)において、放射線治療用の呼吸信号取得装置を用いて複数呼吸相のCTを撮像し、四次元CT画像再構成画像を作成した。これを実際の体幹部定位照射患者26例において、放射線治療開始前に四次元動画CT撮像を行った。この結果、従来Slow scan CTでは描出不能であった肺腫瘍の動きが解明され、従来のCT画像により治療計画を行う場合はさらに5mmの追加マージンが必要であることが確認された。 (2)次に患者の種々の呼吸位相を照合した呼吸同期照射技術を体幹部定位放射線照射へ導入するための基礎的検討を行った。具体的には腹壁運動を感知する赤外線センサーと腫瘍の位置をX線透視装置によって計時的にモニターすることにより、外部呼吸信号と腫瘍の呼吸性移動との相関関係について検証した。その結果は相関係数が0.97と非常に良好であった。この検討結果によれば、腹壁運動を呼吸同期照射のマーカーとして使用できる可能性が高い。 (3)また、体幹部定位照射の適応拡大として転移性肺癌に対する定位照射成績を解析した。本研究では、2カ所以内でかつ各病変が4cm以内の肺転移を持つ患者いわゆるOligometastasesに対する体幹部定位照射の治療成績について検討した。その結果、2年の全生存率、局所無再発生存率、無再発生存率は、各々84%、90%、35%であった。その中で、局所制御率に関しては60Gy照射群が48Gy照射群より良好であったが、明らかな有意差は認めなかった。再発パターンは、新規転移が出現したものが19例と最頻であり、局所再発は3例のみであった。合併症については、Grade 3が1例(3%)とGrade 2が4例(12%)と軽度であった。 以上の結果より、少数の肺転移病変のみ(いわゆるOligometastases)の患者に対する体幹部定位照射は、非常に有用な可能性がある。
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