研究概要 |
昨年試作した検出器を用いた詳細な実験を実施し,シミュレーション結果との比較検討を主に行った。まず,検出器ならびにダイバージングコリメータの基本性能を調べるために,NEMA規格に準じた実験を行った。これにより,均一性,感度,空間分解能などのさまざまな性能を明らかにした。次に,分解能調査用のロッドファントムを作成し,これを用いた基礎実験を実施した。この結果,直径1mmのホットロッドと1.6mmのコールドロッドを,CdTe半導体検出器とパラレルホールコリメータで映像化することができた。パラレルホールコリメータのSPECTシステムで解像できる限界は今まで,最高でも6mm程度であったが,実験結果は従来の最高値を大きく上回るものとなり,世界的にみても最高の分解能が実現できた。また,この検出器に試作したダイバージングコリメータを装着し,有効視野を1.5倍に拡大する実験を行ったが,この実験から本研究でねらっていた視野の拡大も実証することができた。ダイバージングコリメータを装着したSPECTシステムでも,直径1mmのホットロッドとL6mmのコールドロッドを解像した。この他,コリメータと検出器問の隙間の影響や,回転軸のずれがダイバージングSPECTのイメージングに与える影響をシミュレーションから明らかにした。また,従来,検出器のピクセルを小さくして,高い空間分解能を実現することは,統計雑音を増大するため好ましい方法ではないと一般に認識されているが,半導体型検出器のようなピクセル検出器では,統計雑音が増大してもコントラスト分解能が高いため画質的に有利になることを,初めて明らかにした。
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