昨年度までに直径11mm、長さ12cmにまで小型化磁気音響センサの開発に成功した。この磁気音響センサを用いて、直径50nmの磁性流体を300μ1注入した疑似リンパ節を作成し、センサの感度を検討した。100Hz前後までは励磁周波の倍周波の音響が有意に観測されたが、それ以上の周波数となると基本周波が有意となった。基本成分は励磁による粒子の磁化と地磁気の相互作用ではないかと推測された。また装置の改良により磁気音響波を、初期段階のセンサより50倍の感度で検出可能であった。励磁された後に発生する音波の検出可能な部位は、疑似リンパ節の直上のみ可能であり、センサの指向性も十分にあり臨床応用するにも、他のノイズを拾うことなくセンチネルリンパ節を同定できるもと考えられた。 また、磁性流体を励磁する事により音響が発生することを応用して、超音波検査装置の様に目標とするリンパ節を可視化出来ると考えられた。これは励磁後に磁性流体より発する音響を開口合成により4Dにて画像化するものである。これによりRI法のリンフォシンチグラフィの様な生検前にセンチネルリンパ節の位置や個数などを確認することが可能となり、生検施工中もセンチネルリンパ節同定に非常に有用と思われ、今後可視化に関して研究を追加予定である。 さらにセンチネルリンパ節に転移を有すると生検前に画像上判断された場合、磁性流体を励磁し、発生する熱(ハイパーサーミア)を用いて、センチネルリンパ節内の転移層の消滅しうる可能性も示唆され、今後の研究課題と思われた。
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