研究課題/領域番号 |
18390350
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 雅史 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30372741)
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研究分担者 |
赤司 浩一 九州大学, 大学病院, 教授 (80380385)
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 助教 (30315080)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 乳癌 / 大腸癌 / 癌性幹細胞 / Hedgehog / WNT / Gli1 / シクロパミン / β-catenin / Y-secretase |
研究概要 |
(目的)薬剤排出機構が強力に活性化しているcancer stem cell(CSC)は、癌細胞のheterogeneityを作り出す発生源として想定されている。このCSC機構を解明し制御法を確立する事が本研究課題の目的である。(材料と方法)乳岳細胞株および大腸癌細胞株を用いて、各種抗癌剤、形態形成シグナルの異なる活性化状態下でのCSC存在率の変化を調べた。CSC分画としては、Hoechst33342の染色性をもとに分離したSP(side population)分画か、もしくはCD24-/lowCD44+発現を指標に分離した。これらを用いて形態形成シグナルの活性度・依存性解析を行った。また、大腸癌stem cell factor候補であるNotchシグナル阻害剤DAPTによる薬剤感受性への影響を調べた。さらに、開発中のHedgehog(Hh)シグナル受容体Patched1に対する抗体治療薬の効果を検証した。(結果>乳癌・大腸癌細胞株中のSP分画と乳癌CD24-/lowCD44+分画の同定に成功し、同分画に薬剤耐性能傾向があることが明らかになったた。乳癌SP分画とCD24-/lowCD44+分画は、かなりの部分が重なっていることが確認できた。両分画ともにHhシグナルの転写因Gli1が活性化していることが明らかとなった。また、Hh阻害剤シクロパミンやHhシグナルのeffectorである転写因子Gli1をノックアウトすることで乳癌csc細胞数が減少することが判明した。ところで、乳腺上皮の分化マーカーでもあるER刺激でHhシグナルが活性化することも明らかになった。Hhが、分化とCSCという相反する状況で活性化する生物学的意味は現在解析中である。一方、大腸癌CSCはβ-catenin SiRNAで減少した。また、大腸癌細胞にDAPTを作用させることで薬剤耐性を克服できることが明らかになった。これは、APC変異依存性におきている可能性が示唆された。CSC機能との関連性は解析中である。(結語)乳癌・大腸癌細胞中のCSC分画候補分画の維持にはHhシグナル・WNTが必要であることが示唆された。DAPTにより大腸癌の薬剤耐性が克服できる可能性が示唆された。
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