研究概要 |
肝不全治療としての肝臓移植に代わる治療として,肝細胞移植に関する研究を行い,肝臓外への肝組織構築の実現化に向けた研究を行った. 特に新たな組織工学的手法を用いて,culture dishの上で2次元,3次元肝細胞シートを作成し,マウス皮下に「場」を確保し,移植した.その結果,皮下からの血管新生が促進され,細胞が安定して肝細胞としての機能を保持したままで,マウスの皮下に長期間生着させることに世界で初めて成功した.組織学的あるいは血清中のアルブミンや血液凝固因子の解析から肝機能が維持される事を明らかとした.同時に再生能力を有する事も明らかとなった.この効果は200日以上にわたり,維持される事が判明し,これまでに報告のない研究成果となった.肝臓が作るタンパク質等の物質のうち,比較的少量でも人体に十分である血友病などにおいては,その臨床効果は十分にあると予想される.
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