研究概要 |
心臓の収縮弛緩は心筋細胞内のCa^<2+>により制御される。Ca^<2+>汲み出し機構には、心筋小胞体Ca^<2+>-ATPase (SERCA2a),Na^+/Ca^<2+> exchanger,形質膜Ca^<2+>-ATPase,ミトコンドリアのCa^<2+> uniportなどがあり、この4つの内、SERCA2aを介した心筋小胞体への取り込みが機能的に最も大きな役割を果たしている。しかも、SERCA2aによるCa^<2+>汲み上げは病態で変化し、心機能を規定する要因になっている。重症心不全の治療に、本邦では左心補助人工心臓(LVAD)を含むmechanical assist deviceを発展させ、長期間のLVAD使用を可能にした。LVAD長期装着例で左心室負荷軽減により心機能が改善しLVADから離脱できる症例を経験した。この事実は、LVAD駆動中に適切な治療を行うことにより心不全患者の心機能を正常近くまで回復させうる可能性を示唆していると考えた。1960年代から心臓移植に用いられた異所移植モデルを見直し、近年開発された2種類のトランスジェニックラットを応用することとした。ヌードラットをrecipientに用いてOno-Lindseyモデルを作成した。コンダクタンスカテーテルを用いての心機能計測の手順をunloading時の心不全心においてPV-Loopを描くことにより確認した。これを用いて、急性及び慢性心筋梗塞時のPV-Loopを描いた。さらにGFP-ratの新生児の心筋細胞分離を行うため妊娠したGFP-ratを購入し、新生児心筋を単一細胞レベルに分離でき、蛍光顕微鏡にてGFPを同定し、発光程度を確認できた。
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