研究概要 |
最近、分子生物学的に解明されてきた心不全の機序、中でもSERCA2aとの関わりに注目し、内科学的治療に抵抗性の心不全に対し、移植に変わる治療法としての細胞を用いた治療法がいわれている。本研究では心不全の中でもLVAD使用によるunloading時と言った条件を設定し、未熟な細胞neonate cardiomyocytesおよびbone marrow stromal cellsを使い、細胞治療の利点および特徴をいかした基礎的研究、および臨床研究として、心不全、補助循環使用時の条件の検討などを行うことを計画した。 臨床研究の研究実績としては、人工心肺、補助循環、人工心臓関係の患者に関しては、本研究を遂行中に事故が多発しており医療安全調査委員会の設立を含め、構造改革が求められていることが明らかになった。体外循環の医療安全にはチーム医療が重要であり、外科治療におけるチーム医療推進・裁量権拡大に関するアンケートを体外循環技士に行い、臨床現場での状況を調査した。 胸部外科での修練医の処遇改善には就労環境の改善と教育システムの整備が必須であることが医療分業化に関する調査から示唆された。米国のNP・PAシステムの日本への導入の可能性が提案されている,PCI施設や心臓外科施設の集約化、専門医削減を目的とすると、チーム医療推進が不可欠であり、外科診療における診療報酬の現状からは課題が多数残されている。また診療報酬を決める根拠、診療報酬とコスト、人件費以外のコストとの関係、間接経費などについて適正化が求められていることが明らかになった。内科的治療に抵抗する心不全患者、人工心肺を用いて開心術を行った患者の術後の心臓リハビリテーション効果の報告があり、今後日本においてもQOLの改善という面から提案したい。
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