研究課題/領域番号 |
18390356
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30215454)
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研究分担者 |
平野 聡 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50322813)
宮本 正樹 北海道大学, 大学病院, 助教 (40333611)
七戸 俊明 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70374353)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (30399919)
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キーワード | 巖免疫療法 / 腫瘍抗原 / CD4+T細胞 / CD8+T細胞 / 臨床試験 |
研究概要 |
癌患者におけるNY-ESO-1発現をスクリーニングした。122例の食道癌症例では、22例(18%)にNY-ESO-1発現が認められ、この群は無発現群と比較して予後良好な傾向が見られた。病期IIIまたはIVの症例に限っては有意に発現症例の予後が良好であった。さらに、上記22例の腫瘍に浸潤するCD4+T細胞およびCD8+T細胞が有意に多いことが明らかになった。このことから、腫瘍において抗原であるNY-ESO-1が発現している場合、宿主の免疫がこれを認識して術後の生存率を規定していることが判明した。北大病院において施行した臨床試験においては、陽性率は全スクリーニングにおいて10%であったが、これらのNY-ESO-1陽性症例のうち多くは(癌の進行が急速で)全身状態が不良であり、エントリーに至った症例は乳癌症例のみであった。IC取得後、2週間に一回の皮下投与を施行した。投与に伴う急性の有害事象は全く観察されない一方で、明らかな腫瘍縮小も見られなかった。免疫学的反応の評価として、HLAタイピング、血清のELISA(抗NY-ESO-1抗体の検出)、末梢血単核球成分のELISPOT(NY-ESO-1を特異的に認識しインターフェロンγを産生する細胞数を検出)を施行した。現在得られたデータを解析中であるが、特異的免疫反応が見られた場合でも、腫瘍の縮小は観察されていないことから、全身的な免疫反応以外にも腫瘍周囲の局所的な免疫回避機構の存在が示唆されていると同時に、画像上あるいは肉眼的に存在が認められる腫瘍に対しての免疫効果には限界があると予想される(免疫誘導療法が補助療法として有用な可能性がある)。また、NY-ESO-1を特異的に認識するCD4+T細胞およびCD8+T細胞の分離培養を施行した。
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