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2008 年度 実績報告書

常在腸内細菌に対する消化管粘膜防御および共存機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18390357
研究機関東北大学

研究代表者

小川 仁  東北大学, 病院, 講師 (00312570)

キーワード炎症性腸疾患 / 腸管免疫 / 腸内細菌
研究概要

当初無菌マウスに常在腸内細菌叢を定着させる「通常化モデル」を用いて研究を行う予定であったが、無菌マウスの販売が中止され入手不可能となったため、大幅な研究計画の変更を余儀なくされた。そこで臨床検体(大腸)から腸管粘結膜に存在する平滑筋細胞に着目し、腸内細菌由来産物であるLPSやButyrateが腸管結膜平滑筋細胞に与える作用を研究することとした。臨床検体から大腸粘膜平滑筋細胞を分離培養し、LPS単独、Butyrate単独、LPS+butyrate刺激による平滑筋細胞の遺伝子発現の変化をArray法を用いて検討した。LPS単独刺激ではIL-8, CCL2, CXCL1などのサイトカイン遺伝子発現が亢進した。Butyrate単独刺激ではIL-8発現は用量依存性に亢進、CCL2, CXCL1発現は低濃度(0.5mM以下)でやや亢進するが高濃度(1mM以上)では低下することを見いだした。butyrateとLPSの共刺激を行うと、butyrate低濃度で(0.5mM以下)ではLPS単独刺激と比べていずれのサイトカイン産生もやや亢進するが、高濃度(1mM以上)では低下し、その程度はそれぞれのサイトカインで異なっていた。これらの遺伝子発現の変化は定量的PCR法やELISA法によっても確認された。これらの結果は、腸内細菌によって産生されるbutyrateがその濃度により双極性に腸管免疫反応に作用し粘膜防御・共存機構に働きかけることを示しており、炎症性腸疾患(特に潰瘍性大腸炎)の病態に関与する可能性が考えられる。さらに、LPSとButyrateの共刺激の結果から、腸内細菌は様々な物質を介して腸粘膜を構成する細胞に対して複雑に作用することを示唆しそおり、生体と腸内細菌の共存機構を解明するためにはこれらの複難な相互作用の研究が重要であると考えられる。これらの知見を発表するため、現在論文作成中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Crohn病に合併した難治性痔瘻に対するseton法の長期成績2008

    • 著者名/発表者名
      小川仁
    • 雑誌名

      日本大腸肛門病学会雑誌 61

      ページ: 101-106

    • 査読あり
  • [学会発表] 潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術後のC. Difficile関連難治性回腸嚢炎2008

    • 著者名/発表者名
      小川仁ほか
    • 学会等名
      第63回日本大賜肛門病学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-10-16
  • [図書] 大腸疾患NOW20092008

    • 著者名/発表者名
      小川仁、佐々木巖
    • 総ページ数
      199-202
    • 出版者
      日本メデイカルセンター

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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