研究課題/領域番号 |
18390358
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
砂村 眞琴 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (10201584)
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研究分担者 |
江川 新一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00270679)
福山 尚治 東北大学, 病院, 助教 (10344673)
元井 冬彦 東北大学, 病院, 助教 (30343057)
堀井 明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40249983)
曽我 朋義 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60338217)
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キーワード | がん治療 / メタボローム解析 / バイオシミュシミュレーション / 個別化治療 / マイクロアレイ解析 / ゲムシタビン / 化学療法 |
研究概要 |
ゲムシタビンは膵がんに有効な代謝拮抗剤であり第一選択薬として広く用いられているが、薬剤の効果や骨髄抑制を中心とした副作用程度には個人差がある。本研究の目的は、ゲムシタビンの細胞レベルでの代謝に対する影響を生化学的・薬理学的に詳細に明らかにし、精度の高い「効果判定」「副作用予測」を可能にして効果的な膵がん化学療法レジメを実現することである。さらに、近年用いられているTS-1など他の抗がん剤との併用による細胞代謝への影響を明らかにすることにより、奏効率の向上を目指す。キャピラリー電気泳動質量分析装置を用いたイオン性低分子化合物の網羅的測定(メタボローム解析)手法を確立した。この手法により、血液や尿をはじめ、培養細胞中に含まれる代謝物質を一斉に測定・定量することが可能となった。この手法を用いて、これまでにゲムシタビンを投与したPanc-1の時系列メタボローム解析を行った。その結果、これまでに知られていたゲムシタビン二リン酸のリボヌクレオチドリダクターゼの阻害によるデオキシシチジン三リン酸濃度の低下が確認された。さらに,DNA伸長阻害に伴うアポトーシスの誘発状態においては,細胞体積の増加に伴うアミノ酸類の増加や、ATP/AMP比などエネルギーチャージの安定性などが確認された。ゲムシタビン投与後の細胞体積の顕著な増加により、メタボロームデータの解釈が困難であったが、薬剤投与後の細胞体積の変化をFACSにより測定し,細胞内の物質濃度に換算することにより代謝の変動をより適切に考察することが可能であった。既に取得済みのマイクロアレイデータと照らし合わせ、酵素遺伝子およびシグナル伝達経路に関与する遺伝子群の発現量と代謝物質量の相関解析を行うことにより、発現レベルでの代謝の制御機構を明らかにできる可能性がある。また、薬剤耐性のメカニズムを明らかにする目的で、薬剤耐性株および感受性株の比較メタボローム解析に現在取り組んでいる。
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