研究課題/領域番号 |
18390359
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小田 竜也 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (20282353)
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研究分担者 |
川上 浩司 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (70422318)
松本 邦夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90201780)
杉浦 慎治 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 研究員 (10399496)
正田 純一 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (90241827)
野口 雅之 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (00198582)
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キーワード | マイクロカプセル / 癌治療 / c-Met / ドラッグデリバリー |
研究概要 |
本研究は癌細胞表面のレセプターを標的とする分子(=リガンド)に、強力な殺細胞効果のあるトキシンを融合させたもの(リガンド-トキシン)により高い抗癌治療効果を目指し研究を行ってきた。我々は多くの腫瘍細胞に高発現しているレセプターであるc-Metを標的として、そのリガンドであるHepatocyte Growth Factor (HGF)のc-Met結合部位(=NK1)に緑膿菌外毒素(Pseudomonas Exotoxin=PE)を結合させた新規抗癌蛋白(=NK1-PE)の作製を行ってきた。IL13-PEプラスミドを入手しNK1とIL13の配列を組み替えることによりpET24a-NK1-PEのコンストラクトを作製した。そのプラスミドを大腸菌(BL21 DE3 pLysS)に遺伝子導入しNK1-PE蛋白の発現を行った。通常の条件で蛋白の発現誘導を行った場合(37℃、発現誘導物質IPTG:1mM、3時間)、その発現量は決して高くなく不溶性の封入体を形成してしまった。この場合、収量が多くない上、変性、巻き戻しの過程で失う蛋白も多く正しく三次元構造をとった目的蛋白を十分量得るには至らなかった。一方、コントロールとしてC末端にヒスチジンタグ(His6)を融合させたNK1蛋白の作製も同時に行ってきた。現在、多くの蛋白を得るためにGSTタグなどを融合させることも考慮にいれ、可溶性に発現する誘導条件(温度、IPTG濃度、時間等)を検討している。 今後は液体クロマトグラフィーにより目的蛋白を精製し、その殺細胞効果、腫瘍抑制効果を評価していく予定である。また、この蛋白の全身投与は非腫瘍細胞にも障害を来たす可能性があるためそのままでは臨床応用は難しいと考えられる。その防御策として治療薬分泌マイクロカプセルを作製し、腫瘍周囲に配置し局所でのみ治療効果を発揮させるシステムの開発を考える。
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