研究概要 |
DNAマイクロアレイを用いて直腸癌に対する術前放射線療法の効果を照射前に予測できるか検討を行った.これまでの検討で,術前照射前の癌の生検標本の遺伝子発現解析が可能であった放射線照射を行った直腸癌52例を対象として,照射効果は組織学的に評価し,responderとnonresponderに分類し,k-nearest neighbor method(KNN法)によるleave-one-out cross validationを行い術前照射療法の効果予測を行った.この結果,responder,nonresponder間で発現の異なるアポトーシス関連遺伝子を含む33遺伝子を抽出し,この33遺伝子により効果予測式を作成した結果,88.6%の精度で照射効果の予測が可能であった.さらに,この予測式を用いてtest setで効果判定の検証を行った結果,82.4%の精度で照射効果の予測が可能であった,今回は,同様な方法を用いて,本邦で開発された経口抗癌剤(5FU製剤)を用いた化学放射線療法の効果判定を行うための解析を行った.Responder 6例とnonresponder 9例を対象として検討した。 Responderとnonresponder間で発現の異なる4遺伝子を抽出し,k-nearest neighbor method(KNN法)によるleave-one-out cross validationを行い術前照射療法の効果予測を行った.この結果,全例(100%)の予測を正確に行うことが可能であった.症例数がまだ多くないが,この結果から,今後の照射効果予測に基づいた直腸癌に対するテーラーメイド治療の可能が考えられた.
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