研究課題/領域番号 |
18390366
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡 正朗 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70144946)
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研究分担者 |
中村 和行 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90107748)
飯塚 徳男 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80332807)
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キーワード | 癌 / ゲノム / マイクロアレイ / プロテオーム / バイオテクノロジー |
研究概要 |
肝癌の新規診断診断システムの開発研究では、「癌の再発予測に関する特許」を基盤に、独自の統計的パターン認識法により選択した遺伝子群を用いて、遺伝子マイクロアレイ用のミニチップを開発した。ミニチップには30個の遺伝子が搭載されており、HCC48例の検討で、clusterNに属した場合は1年以内の再発がなかったことから、有用性が示された。また、蛋白解析では、肝癌特異的自己抗体の検索を、Proteomex法と質量分析法にて検討した。5種類(HSP70、Peroxiredoxin、SDO、AKR1、GAPDH)が検出され、検出率の高かった前3者を用いて、健常人と比較したところ、HSP70は7/15vs.1/11、Peroxiredoxinで5/15vs.0/11、SDOで6/15vs.1/11であった。これら自己抗体は肝細胞癌の新たなマーカーとなる可能性が示唆された。 肝癌における創薬研究では、ID2遺伝子について検討した。HCC92例のRT-PCRによる検討により、ID2遺伝子は転移再発や浸潤に関連していることが判明した。ヒト肝癌細胞株を用いて、ID2を強制発現させると浸潤能は阻害され、VEGF産生能およびHIF-1αの蛋白発現が抑制された。さらに、siRNAによりID2をknockdownすると、逆の現象が観察された。ID2遺伝子は肝癌治療の標的となることが判明した。プロテオミクス解析により肝癌で発現亢進を確認した糖代謝酵素α-Enolaseについて検討した。ヒト肝癌細胞株を用いて、siRNAによりα-Enolaseをknockdownすると糖の存在に関わらず増殖が抑制されたことから、α-Enolaseは肝細胞癌の新たな分子標的になる可能性がある。
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