研究概要 |
◆難治癌である膵癌の治療成績向上のためには、早期診断法の確立と治療効果予測に基づく的確な個別化治療が重要である。本研究では、この膵癌関連候補遺伝子群の中から高速マイクロダイセクションを利用して臨床診断に応用できる遺伝子群を選別し、膵液微量RNA解析による膵癌診断法を確立することである。さらに新たな電気化学チップによって高感度・簡便・迅速・安価な膵癌診断機器開発の基盤研究を進める。 1.Muc familyを対象としてmRNA定量解析を行った結果、Muc1とMuc5ACは膵発癌過程において段階的に発現増強があり、膵液を用いた解析によって膵癌診断の一助となることが判明した。(Ohuchida et al., Int J Cancer, 2006) 2.H-tertのmRNA定量解析を行ったところ、膵癌とIPMN、膵炎との鑑別に有用であった。(Ohuchida et all., Clin Cancer Res, 2006) 3.S100Pの発現解析を行ったところ、S100Pは膵発癌の早い段階において発現増強があり、膵発癌の早期マーカーとして有用であることが判明した。(Ohuchida et al., Clin Cancer Res, 2006) 4.S100A11の発現解析を行ったところ、S100A11はIPMNにおいて高い発現があり、膵癌ではこれよりやや発現が低下することが判明した。膵液でも同様の結果であり、早期膵癌診断に有用である。(Ohuchida et al., Clin Cancer Res., 2006) 5.電気化学テロメラーゼ解析を用いて膵液サンプル中のテロメラーゼ活性を測定するために卓上型の機器開発を行った。現在、従来のTRAP法と同程度以上の制度でテロメラーゼ活性を検出することが可能になった。
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