スキルス胃癌はFGFR2発現率が高く、発現例は有意に予後不良であったことから、FGF-R2阻害剤Ki23057がスキルス胃癌細胞に及ぼす影響を行った。Ki23057はスキルス胃癌細胞株の増殖を抑制するが、高分化型胃癌細胞の増殖は抑制しない。すなわち、FGF-R2/K-samIIリン酸化阻害剤Ki23057はスキルス胃癌細胞の増殖を特異的に抑制する事が明らかになった。一方、非スキルス胃癌細胞は抑制されない。次に、FGF-R2の下流シグナルを検討すると、Ki23057はスキルス胃癌細胞の発現するMAPK経路のERKリン酸化、PI3K経路のAktリン酸化を抑制した。アポトーシスにおよぼす影響をFlowcytometryにて検討すると、control(2.3%)に比しKi23057の100nMと1000nM投与にてAnnexin V陽性かつpropidium iodide陰性の早期アポトーシス細胞が有意に増加する(12.1%、20.0%)。さらに抗がん剤5 FU投与により、アポトーシスが増強された。これらのことより、Ki23057のFGF-R2リン酸化阻害作用が、MAPキナーゼ系やPI3キナーゼ系を抑制しアポトーシスを誘導することでスキルス胃癌細胞の増殖を抑制し、さらには5 FUの抗腫瘍効果増強が示唆された
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