呼吸器悪性腫瘍(肺癌および中皮腫)の生物学的性格に基づく新規診断・治療戦略の構築

2008 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 18390382
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 胸部外科学
• 研究機関: 東京医科大学
• 研究代表者: 平野 隆 東京医科大学, 医学部, 准教授 (30238381)
• 研究分担者: 大平 達夫 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40317847) ; 川上 隆雄 東京医科大学, 医学部, 客員准教授 (40366117) ; 加藤 治文 東京医科大学, 名誉教授 (20074768)
• 連携研究者: 佐治 久 東京医科大学, 医学部, 助教 (60420965) ; 西村 俊秀 東京医科大学, 医学部, 客員教授 (40366092)
• 研究期間 (年度): 2006 – 2008
• キーワード: 肺癌 / 中皮腫 / 早期発見 / 個別化治療 / バイオマーカー探索 / 臨床プロテオミクス / 呼吸器外科

研究概要

呼吸器悪性腫瘍(肺がん、特に肺腺癌と悪性中皮腫)の早期診断と治療の個別化に向けた蛋白質レベルのバイオマーカー探索を目的に研究を行った。探索の主たる手段に2次元電気泳動法と質量分析(LC-MS)を用いた。特に臨床上有効性の高い血清診断を可能にするバイオマーカーの探索をめざし、培養細胞・外科切除材料の短期培養上清(conditioned medium)中に分泌されるであろう蛋白質の解析を中心に行った。(1) 悪性中皮腫と低分化肺腺癌との鑑別(2) 肺腺癌の早期発見バイオマーカー探索(検診への応用)(3) チロシンキナーゼ阻害薬のリン酸化腫瘍蛋白に与える影響の分析→効果予測の検討(4) 肺腺癌の術後補助化学療法選択のためのバイオマーカー探索を中心に解析を進めた。

研究成果

• [雑誌論文] Amino acid sequence database suitable for the protein and proteome analysis (2008)
  • 著者名/発表者名: Takao Kawakami, Junko Ozaki, Kazuhiro Kondo, Shinji Sato and Harunobu Yunokawa
  • 雑誌名: Current Proteomics 5 ページ: 267-275
  • 査読あり
• [雑誌論文] Proteomic analysis of stage I primary lung adenocarcinoma aimed at individualization of postoperative therapy (2008)
  • 著者名/発表者名: Junichi Maeda, Takashi Hirano, Atsushi Ogiwara, Shingo Akimoto, Takao Kawakami, Yousuke Fukui, Toshinori Oka, Yunbo Gong, Ran Guo, Hidehiro Inada, Kimitoshi, Nawa, Masakazu Kojika, Yasuhiro Suga, Tatsuo Ohira, Kiyoshi Mukai, Harubumi Kato
  • 雑誌名: British Journal of Cancer 98 ページ: 596-603
  • 査読あり
• [雑誌論文] Personalized medicine and proteomics -Lessons from non-small cell lung cancer (2007)
  • 著者名/発表者名: Gyorgy Marko-Varga, Atsushi Ogiwara, Toshihide Nishimura, Takeshi Kawamura, Kiyonaga Fujii, Takao Kawakami, Yutaka Kyono, Hsiao-kun Tu, Hisae Anyoji, Mitsuhiro Kanazawa, Shingo Akimoto, Takashi Hirano, Masahiro Tsuboi, Kazuto Nishio, Shuji Hada, Haiyi Jiang, Masahiro Fukuoka, Kouichiro Nakata, Yutaka Nishiwaki, Hideo Kunito, Ian S. Peers, Chris G. Harbron, Marie C. South, Tim Higenbottam, Fredrik Nyberg, Shoji Kudoh, Harubumi Kato
  • 雑誌名: Journal of Proteome Research 6(8) ページ: 2925-2935
  • 査読あり
• [雑誌論文] Napsin A (TA02) is a useful alternative to thyroid transcription factor-1 (TTF-1) for the identification of pulmonary adenocarcinoma cells in pleural effusions (2007)
  • 著者名/発表者名: Dejmek A, Naucler P, Smedjeback A, Kato H, Maeda M, Yashima K, Maeda J, Hirano T
  • 雑誌名: Diagn Cytopathol 35(8) ページ: 493-497
  • 査読あり
• [雑誌論文] Present status of clinical proteomic analysis for the early detection and determination of therapeutic strategy in lung cancer (2006)
  • 著者名/発表者名: Hirano T, Kato H
  • 雑誌名: Ann Thorac Cardiovasc Surg 12 ページ: 4-9
• [雑誌論文] Synuclein-γ is closely involved in perineural invasion and distant metastasis in mouse models and is a novel prognostic factor in pancreatic cancer
  • 著者名/発表者名: Taizo Hibi, Taisuke Mori, Mariko Fukuma, Akinori Hashiguchi, Taketo Yamada, Minoru Tanabe, Koichi Aiura, Takao Kawakami, Atsushi Ogiwara, Tomoo Kosuge, Masaki Kitajima, Yuko Kitagawa and Michiie Sakamoto
  • 雑誌名: Clinical Cancer Research (in press)
  • 査読あり
• [学会発表] 組織プロテオームの液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析による腫瘍診断マーカー蛋白質の探索とその検証 (2008)
  • 著者名/発表者名: 川上隆雄, 荻原淳, 平野隆, 加藤治文
  • 学会等名: 第33回日本医用マススペクトル学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-09-26
• [学会発表] Discovery and validatoion of the protein biomarkers for tumor diagnosis : Differential analyses of the liquid chromatography/tandem mass spectrometry profiles from the tissue proteomes (2008)
  • 著者名/発表者名: Takao Kawakami, Atsushi Ogiwara, Kazuya Wada, Takashi Hirano, Harubumi Kato, Norihiko Ikeda
  • 学会等名: 17th Meeting of Methods in Protein Structure Analysis
  • 発表場所: Sapporo
  • 年月日: 2008-08-28
• [学会発表] 臨床応用へ向けた蛋白質バイオマーカーの探索と検証 : プロテオミクスからのアプローチ (2008)
  • 著者名/発表者名: 川上隆雄
  • 学会等名: CBI学会第288回研究講演会(バイオインフォマティクスの最近の話題 : 次世代シークエンサーデータ解析とプロテオミクスによるバイオマーカー探索)
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-08-22
• [学会発表] Statistical analyses of proteomic data for the clinical utility of protein biomarkers (2008)
  • 著者名/発表者名: Takao Kawakami, Atsushi Ogiwara
  • 学会等名: HUPO2008 7th World Congress
  • 発表場所: Amsterdam, Netherland
  • 年月日: 2008-08-18
• [学会発表] 蛋白質バイオマーカーの臨床使用に向けたプロテオームデータの統計解析手法の開発 (2008)
  • 著者名/発表者名: 川上隆雄, 荻原淳, 和田計也, 高見幸子, 永坂恵子, 加藤治文, 平野隆
  • 学会等名: 日本ヒトプロテオーム機構第6回大会
  • 発表場所: 大阪
  • 年月日: 2008-07-30
• [学会発表] 疾患バイオマーカー開発のためのプロテオミクス : 網羅的な手法による探索結果を検証することの重要性 (2008)
  • 著者名/発表者名: 川上隆雄, 荻原淳
  • 学会等名: 第56回質量分析総合討論会, シンポジウム「医用分野における質量分析」
  • 発表場所: つくば
  • 年月日: 2008-05-15
• [学会発表] バイオマーカー蛋白質の開発に向けた液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析データの統計解析手法の改良とその応用 (2008)
  • 著者名/発表者名: 川上隆雄, 荻原淳, 和田計也, 高見幸子, 永坂恵子, 尾辻真紀子, 田中直樹, 齋藤実, 秋元信吾, 加藤治文
  • 学会等名: 第4回日本臨床プロテオーム研究会, シンポジウム1「非癌領域」
  • 発表場所: 大阪
  • 年月日: 2008-05-10
• [学会発表] 臨床応用に向けた肺癌のプロテオーム解析 (2007)
  • 著者名/発表者名: 平野隆, 前田純一, 片場寛明, 小鹿雅和, 垣花昌俊, 本多英俊, 中嶋英治, 大平達夫, 坪井正博, 加藤治文
  • 学会等名: 第48回日本肺癌学会総会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2007-11-08
• [学会発表] 臨床応用に向けた肺癌のプロテオーム解析 (2007)
  • 著者名/発表者名: 平野隆
  • 学会等名: 第33回日本肺癌学会北海道支部会(特別講演)
  • 発表場所: 札幌
  • 年月日: 2007-10-06
• [学会発表] Discovery of metastasis factors from in-depth proteome analysis of formalin-fixed lung carcinoma tissues (2007)
  • 著者名/発表者名: Hirano T, Ohira T, Nomura M, Nishimura T, Nishiyama R, Fujii K, Bando Y, Mukai K, Kato H
  • 学会等名: 66th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
  • 発表場所: Yokohama
  • 年月日: 2007-10-03
• [学会発表] 質量分析より取得されるプロテオーム情報の高精度化 (2007)
  • 著者名/発表者名: 川上隆雄, 荻原淳, 加藤治文
  • 学会等名: 第3回日本臨床プロテオーム研究会
  • 発表場所: 新宿
  • 年月日: 2007-04-28
• [学会発表] 原発性肺癌の術後治療の個別化に向けたプロテオーム解析の試み (2007)
  • 著者名/発表者名: 平野隆, 前田純一, 吉田浩一, 小鹿雅和, 坂田義詞, 佐治久, 垣花昌俊, 藤岡薫, 大平達夫, 坪井正博, 加藤治文
  • 学会等名: 第107回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 大阪
  • 年月日: 2007-04-13
• [学会発表] Possibility of the prediction of an adverse effect (interstitial lung disease) by gefitinib (an interim report) (2006)
  • 著者名/発表者名: Hirano T, Ogiwara A, Maeda J, Yoshida K, Fujioka K, Nomura M, Kakihana N, Kajiwara N, Ohira T, Tsuboi M, Kato H
  • 学会等名: The joint meeting of 3^<rd> ISC International Conference on Cancer Therapeutics and the 11^<th> International Symposium on Cancer Chemotherapy
  • 発表場所: Tokyo
  • 年月日: 2006-12-06
• [学会発表] チロシンキナーゼ阻害剤による薬剤生間質性肺炎のバイオマーカー探索 (2006)
  • 著者名/発表者名: 平野隆, 大平達夫, 荻原淳, 秋元信吾, 羽田修二, 坪井正博, 加藤治文
  • 学会等名: 第12回薬剤疫学学会総会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2006-11-14
• [学会発表] 肺癌個別治療をめざしたプロテオーム解析の現状 (2006)
  • 著者名/発表者名: 平野隆, 前田純一, 片場寛明, 野村将晴, 垣花昌俊, 梶原直央, 大平達夫, 坪井正博, 西村俊秀, 加藤治文
  • 学会等名: 第44回日本癌治療学会総会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2006-10-19
• [学会発表] 臨床応用を目指した肺癌のプロテオーム解析 (2006)
  • 著者名/発表者名: 平野隆, 大平達夫, 前田雅弘, 荻原淳, 秋元信吾, 西村俊秀, 加藤治文
  • 学会等名: 第65回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2006-09-29
• [学会発表] I 期肺腺癌切除症例のプロテオーム解析-UFTによる術後補助化学療法との関係- (2006)
  • 著者名/発表者名: 前田純一, 平野隆, 秋元信吾, 稲田秀洋, 大平達夫, 坪井正博, 荻原淳, 川上隆雄, 西村俊秀, 加藤治文
  • 学会等名: 日本ヒトプロテオーム機構第4回大会, 第2回日本臨床プロテオーム研究会, 合同年会
  • 発表場所: 新宿
  • 年月日: 2006-07-18
• [図書] Mascot-蛋白質/プロテオーム解析における質量分析データと配列データベースの照合-,「改訂第2版バイオデータベースとウェブツールの手取り足取り活用法」(中村保一・石川淳・礒合敦・平川美夏・坊農秀雅(編集)) (2007)
  • 著者名/発表者名: 川上隆雄
  • 総ページ数: 188-199
  • 出版者: 羊土社
• [図書] 肺がんにおけるプロテオーム解析-何をもたらすのか-, 呼吸器Common diseaseの診療肺がんのすべて (2007)
  • 著者名/発表者名: 平野隆
  • 総ページ数: 36-38
  • 出版者: 文光堂
• [図書] プロテオミクスによる呼吸器疾患解析, 別冊医学のあゆみ呼吸器疾患 (2007)
  • 著者名/発表者名: 平野隆
  • 総ページ数: 67-69
  • 出版者: 医師薬出版
• [図書] プロテオミクス解析に基づく原発性肺癌のバイオマーカー探索, MOOK 肺癌の臨床2005~2006(加藤治文, 西條長宏, 福岡正博, 小林紘一, 海老原善郎, 井内康輝, 早川和重) (2006)
  • 著者名/発表者名: 平野隆
  • 総ページ数: 75-80
  • 出版者: 篠原出版新社, 東京
• [備考] 平野隆:プロテオミクスを用いた肺癌の悪性度評価.呼吸25 : 472-475,2006
• [備考] 平野隆:肺癌の早期診断とプロテオミクス : バイオマーカー探索の手法をみる.分子呼吸器病10 : 92-97, 2006
• [備考] 平野隆:プロテオミクス解析の肺癌診療への応用とその課題呼吸と循環54, 1287-1292, 2006
• [産業財産権] 手術後の予後を推定する方法及び診断キット (2008)
  • 発明者名: 福井陽介,荻原淳,秋元信吾,川上隆雄,平野隆,前田純一,加藤治文
  • 産業財産権番号: PCT/JP2008/069289
  • 出願年月日: 2008-10-17