研究課題/領域番号 |
18390385
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
田中 文啓 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10283673)
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研究分担者 |
長谷川 誠紀 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10252438)
松本 成司 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60412011)
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キーワード | 呼吸器外科 / 肺癌 / 遺伝子変異 / 高感度検出 / EGFR |
研究概要 |
まずSSCP法やDHPLC法による遺伝子変異の高感度検出系を構築し、従来のダイレクトシークエンス法と比較して10-100倍高感度にEGFRエクソン18-21における遺伝子変異の検出が可能であることを確認した。次いで、この高感度検出系を用いて肺癌切除症例について、血液中に原発巣で見出される遺伝子異常が検出可能か否かを検討した。その結果、我々が開発した高感度変異検出法を用いても、血液中の極めて微量に存在する異常遺伝子を検出するには十分ではないことが判明した。このために血清分離を行って遺伝子変異の検索を行ったが、やはり十分な感度は得られず臨床応用は困難であることが判明した。今後SCORPION-ARやMS法等のより高感度な検出系を用いて血液での遺伝子異常の診断の可能性について検討を行っていく予定である。 しかしながら上記高感度検出システムを用いると、ほぼ100%の信頼性を持って胸水やパラフィン薄切切片での遺伝子変異検索が可能であることが明らかになった。そこで肺癌切除標本のパラフィン切片を用いて、癌部、多発癌部位、前癌病変(異型性腺腫様過形成AAH)および正常肺部分の遺伝子異常を連続的に検討すると、癌部でEGFR遺伝子変異が認められる症例の、非癌部(AAHを含む)には同様の変異を認めず、EGFR遺伝子変異は直接に癌原性を有すること、また癌とAAHは独立して発生していることが明らかとなった。また同一症例に腺癌が複数存在した場合に、遺伝子変異パターンの相違によって多発であるのか肺内転移であるのか、の鑑別が可能になりより正確な病期診断が可能となった。 また上記高感度検出システムを用いると、細胞診で検出できないような極めて微量の癌細胞由来の変異遺伝子検出が可能であり、現在肺癌手術時の洗浄液中の細胞診と遺伝子異常の比較検討を行っている。
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