研究分担者 |
徳山 勤 浜松医科大学, 医学部付属病院, 助教 (90313957)
横田 尚樹 浜松医科大学, 医学部付属病院, 講師 (00273186)
中村 悟己 浜松医科大学, 医学部付属病院, 助教 (20377740)
大西 一功 浜松医科大学, 医学部付属病院, 教授 (80252170)
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研究概要 |
Herpes simplex virus-thymidine kinase遺伝子を導入した神経幹細胞(TK 神経幹細胞)の腫瘍内投与とprodrugであるganciclovir(GCV)の全身投与による「TK神経幹細胞療法」を用いて実験的ラット脳腫瘍の治療が可能である。本研究では成人ヒトからは採取が容易でなく,また増殖能も限られている神経幹細胞を,成人骨髄より比較的容易に採取できる間葉系幹細胞(TK間葉系幹細胞)により代替することが可能かどうかを検証している。TK遺伝子治療においてはTK細胞と腫瘍細胞の間に生じるbystander効果が鍵になるが,このbystander効果に関しては,TK間葉系幹細胞はTK神経幹細胞と同等の能力がある。また神経幹細胞療法の特徴であるTK細胞による腫瘍追跡能力に関しても,間葉系幹細胞が十分な能力をもつことがわかった。 今回,ヒト由来の間葉系幹細胞にTK遺伝子を導入した細胞を確立し,Cell line化されたヒトグリオーマ細胞(A-172とT98G)との間のin vivo bystander効果をヌードマウスにおけるco-implantation実験にて検証した。いずれのグリオーマ細胞ともGCV投与によりbystander効果を介して腫瘍細胞は生着せず,動物は長期生存した。この効果はラットグリオーマ細胞にたいしてもある程度有効であり,これまでのin vitro実験で示されたようにこのbystander効果は種に非特異的な現象である可能性が示唆された。 種に非特異的な現象である可能性が示唆された。現在in vitro co-culture studyにおいてGCVの投与のタイミングを検討している。腫瘍細胞とTK細胞との混合と同時または混合よりすこし前にGCVを投与すると最も効果が強いことがわがうているが,腫瘍細胞の増殖能が高く両者の比率が変化するため,さらなる検討が必要である。
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