研究課題/領域番号 |
18390394
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
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研究分担者 |
徳山 勤 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90313957)
横田 尚樹 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00273186)
中村 悟己 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (20377740)
大西 一功 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (80252170)
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キーワード | gene therapy / herpes simplex virus-thymidine kinase / ganciclovir / neural stem cell / mesenchymal stem cell / brain tumor / bystander effect / glioma |
研究概要 |
Herpes simplex virus-thymidine kinase遺伝子を導入した神経幹細胞(TK神経幹細胞)の腫瘍内投与とprodrugであるganciclovir(GCV)の全身投与による「TK神経幹細胞療法」を用いてラットグリオーマの治療が可能である。この治療戦略ではTK細胞の周辺にある腫瘍細胞を「バイスタンダー効果」により殺すため、このバイスタンダー効果の強さが治療効果を決める。またグリオーマが脳内を浸潤性に広がる性質をもつため、腫瘍細胞を追跡する能力も重要である。本研究では臨床上、採取が困難でまた増殖能も限られている神経幹細胞を、骨髄より比較的容易に採取できる間葉系幹細胞(TK間葉系幹細胞)により代替することが可能かどうかを検証している。現在までにTK間葉系幹細胞にもTK神経幹細胞と同様のバイスタンダー効果および腫瘍追跡能があることが判明している。今回、ラットグリオーマモデルを用いて、「TK間葉系幹細胞療法」を検証したところ、明らかな抗腫瘍効果があることが示された。また、グリオーマの髄液播種モデルにおいてもTK間葉系幹細胞の髄腔内投与とGCVの全身投与による「TK間葉系幹細胞療法」が抗腫瘍効果を発揮し、生存期間を有意に延ばすことがわかった。また「TK間葉系幹細胞療法」施行後、長期生存したラットの脳を用い、バイスタンダー効果により脳実質の明らかな障害が起こらないことを見出している。今後、臨床プロトコルの作成のために安全性、有効性を含む基礎データを蓄積してゆく予定である。
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