研究概要 |
20世紀中に完治できなかったがんや生活習慣病等に代表される難治性疾患に対し、有効で、かつ効率的な新規医療を開発することは、極めて重要である。しかしながら、基盤研究から実用医療へと展開できるプロジェクトの数は、1/10,000に過ぎず、莫大な経費と人材が無駄になっている。そこで、本研究では、律速になっている開発領域の整理を行い、通過するための評価方法とその基準つくりを念頭においた先端医療開発の実施を目的した。具体的には、2つの課題、すなわち(1)「分子医療」開発に関わる基盤研究の促進と(2)新規医療開発研究の律速になっている領域を効率よく通過するための評価方法と基準つくりの提案を行った。今年度は、昨年度行ったイメージング機能付ナノデバイスリポソームの開発をさらに推し進め、生体内でのトレーサビリティーと治療効果の相関性を中心に検討した。(1)分子医療マテリアルの選択・同定:本研究では、aurora、JNK、XIAP、Fas、TRAILに対する低分子化合物をdry環境にあるコンピュータシミュレーション下でデザインし、その生物学的活性を確認し、有用性を証明した。(2)リアルタイムトレーサビリティーを付加したキャリア(ナノデバイスリポソーム)の開発:リポソーム表面の電荷状況(Z-poteintial等)を陰性に傾けることで、網内系をスルーしやすくなった。また、MRにおけるトレーサビリティーのひとつとしてGd包埋リポソームが有用であることを確認した。その結果、分子マテリアルのトレーサビリティーと治療効果の相関性を観察できた。
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