研究課題
脳腫瘍において、WHO脳腫瘍分類から予後が推測され妥当な治療方法が決定される。しかし、WHO分類から予測される個々の腫瘍の生物学的特徴(治療反応性)が妥当でない場合もある。そこで、mRNAの発現プロファイルを用いた予後予測、治療反応性予測を試みた。本研究では、ATAC-PCRを用いて58遺伝子が悪性度の高いgliomaの予後に強く関連していることを証明した。さらに、臨床の現場で使いやすいreal time PCRに、そのプラットフォームを転換しようと試みた。ATAC-PCRから選定した58遺伝子を用いたRNA発現プロファイリングでは、特定のアルゴリズムを設定することができ、それぞれのgliomaを予後良好群、不良群に分類し、GB症例にても同様に2群に分けることが可能であった。今回用いるreal time PCR法は、SYBR greenを用いたインターカレーター法である。これは、mRNAから生成したcDNAに、その遺伝子発現に一致したプライマーを作成し、プライマーと反応して合成される二本鎖DNAが色素により発光するため、合成された遺伝子の分だけシグナルが増加し、それを分光蛍光光度計で評価する。real time PCRでも反応の安定していたUBL5をstandard primerとして使用し、同一サンプル間で、ATAC-PCRとreal time PCRとの相関係数で0.896と非常によい正の相関を得ることができた。次にdelta delta Ct法を用いて、58遺伝子をさらに30遺伝子に絞り込み、gliomaの予後判定因子とした。新規の63症例をtest setとして解析をし、その妥当性を確認した。
すべて 2009 2008
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Cancer Sci. 100
ページ: 165-72
J Neurooncol 88
ページ: 161-167