研究概要 |
脳腫瘍幹細胞の分離、同定 悪性神経膠腫手術症例に対し、摘出標本を用いた幹細胞培養を継続した。神経膠芽腫2例において、幹細胞培養下に継代に成功し、P3、P6、P9にて核酸抽出を行った。1例は幹細胞マーカーの発現を維持できたが、1例は徐々にその発現が低下し、幹細胞の分化が示唆された。 遺伝子異常とmicroRNA発現 genotypeを基にglioblastoma(GB)8例、amplastic astrocytoma(AA)4例を選択し、TaqMan MicroRNA arrayを用いて、365個のmicroRNAの網羅的発現解析を行った。GB-AA間で有意に発現の異なる16個のmicroRNAを同定した。その中で最も有意に差がみられたmiR-196aとmiR-15b、さらにmiR-196b、miR-21の4分子に対して、105例のgliomaサンプルを用い、発現解析を行ない、これらのmiRNAが悪性度に伴い発現が増加している事がわかった。また、GB症例においてはmiR-196a、miR-196bのいずれかが高発現している症例は予後不良であった。 幹細胞におけるmicroRNA発現解析 腫瘍幹細胞より抽出したtotalRNAを用い、microRNA expression arrayを用いてmicroRNAの網羅的発現解析を行った。 シグナル伝達異常とmicroRNA発現 GBにおいてEGFRvIIIの発現に伴い、miR-196a,miR-155,miR-105,miR-302b発現の有意な変化が認められた。また、miR-196aの下流標的分子であるHOXB8発現の検討も行ったが、miR-196a発現に伴う有意差は認められなかった。
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