研究分担者 |
笹島 浩泰 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (80196188)
大和田 敬 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (80332948)
井上 靖夫 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60363975)
川辺 拓也 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (10360033)
栗岡 宏樹 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30405295)
|
研究概要 |
本研究では,近年,癌診断におけるポジトロン・エミッション・トモグラフィ(PET)が汎用されてきていることに関連して,脳腫瘍における循環代謝面からの個別化最適治療方法の樹立を目指す点にある.本年度は,他の非腫瘍性病変および神経画像診断法と対比しながら,脳腫瘍の早期診断における循環代謝特異性を検討した. 腫瘍悪性度の有力な指標である^<18>F-フルオロデオキシグルコース(FDG)は生理的トレーサーで,周辺脳組織にもある程度取り込まれる.悪性脳腫瘍(悪性グリオーマ)の多くは,FDGの取り込みが灰白質と同程度であり,脳組織白質より高くて白質で陽性像(hot)になるが,灰白質ではやや不明瞭な集積像となった. 一方,低悪性度および分化型脳腫瘍では腫瘍/組織集積比(T/N)が必ずしも高くない.非腫瘍性病変との比較では悪性脳腫瘍で集積が高いことが多いが,脳梗塞の急性期や脳膿瘍においてもしばしば集積した,そこで,より特異的な診断法として運動などによって筋肉など脳組織以外でFDGを消費させて,脳組織の取り込みを低下させ,T/NTを高くして陽性に描出する描出賦活法の開発を試みている. 脳腫瘍におけるFDGトレーサーの分布では,悪性腫瘍病変内でトレーサーの流線や流跡が不均一であり,さらに集積分布が一様でない.これに対して,低悪性度腫瘍内で均一な集積を示し,分布パターンによる悪性度評価や局在診断が可能であった. 今後,他の脳病変および他画像診断法所見との比較を行いながら,脳腫瘍における循環代謝面からの病期別の特徴および診断基準を確立し,さらに,治療効果との関連を検討する.
|