研究概要 |
下垂体腺腫52例の組織を用いてtissue microarrayを作成し、蛍光免疫染色を行い、β-actin発現とのrelative indexをimaging analyzing software(ImagePro Plus)で解析した。DDR1の組織発現はGH並びにPRL産生腫瘍に(Kruskal-Wallis test;p<0.001),Knosp grading 2以上(p<0.01),macroadenoma(p<0.001)に有意に高かった。ヒト下垂体腺腫細胞HP-75を用いてin vitroの実験でDDR1 full length cloneやDDR1 siRNAをtransfectすることでDDR1 mRNAの強制発現やgene silencingをした細胞を樹立し、機能分析を行った。Collagen type I,II,III,IVに対するcell adhesion assayとimmunoprecipatationではDDR1はHP-75細胞においてcollagen type Iに対する細胞接着を制御し、同時にligandとなっていることが明らかとなった。 collagen zymogramではDDR1を強制発現させた細胞は有意にmatrix metalloproteinase(MMP)-2,-9分泌が亢進し、一方でgene silencingした細胞では逆に抑制されていた。この結果、DDR1は下垂体腺腫細胞のMMP-2,-9分泌をup-regulateしていることを示唆していた。 collagen gelやMatrigelといった天然素材から抽出したcollagenを含有する従来の手法ではcollagen type IをligandとするDDR1のsignal cascadeを検討することは妥当性に欠くので、我々は人工のpeptide gelであるPuramatrixに着目した。このgel内に1-10000nMのcollagen type Iをあらかじめ混入した上でdropcultureを行い培地に分泌されたMMP-2,-9を測定した(ED50;MMP-1,50.1ng/ml;MMP-9,49.5ng/ml)collagen type I(50ng/ml)を混入したPuraMatriXの中で細胞を3D invasion assayで検討し、24時間連続撮影した結果gel内の細胞浸潤はDDR1がup-regulateしていた。
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