研究概要 |
脊髄圧迫モデルの損傷別に抽出したサンプルから、totalRNAを調節後精製したpoly(A)RNAをAgilent2100Bioanalyzerを用いて純度を確認後、Gene Chip解析をAffymetrix社(GeneChip RatGenome230 2.0Array)をもちいて、各サンプル間の比較を行なった。フィルタリング解析後、各遺伝子における発現率、発現差を指標として変動遺伝子の抽出を行なった。クラスタリング解析は、GeneOntology解析、Pathway解析(KEGG pathway解析)を順次行なった。統計学的に軽度の損傷モデルにて有意な上昇を呈したのは、TGF-beta signaling pathway, ECM-receptor interaction, JNK and p38MAP kinase pathway, Classical MAP kinase pathwayであった。このMAP kinase pathwayの中で脊髄生存維持、修復に関与している内因性発現遺伝子群として、NGF, BDNF, GDNF, NT-3, p75がRT-PCRでmRNAの有意な発現上昇を確認した。そこでNT-3遺伝子、mouse BDNF遺伝子、β-galactosidase遺伝子(LacZ virus)を組み込んだ非増殖型アデノウイルスベクター(AxCAhGDNF, AxBDNF, AxCALacZ)をCOS-TPC法で作製し、twyマウス(慢性脊髄圧迫モデル)の胸骨乳突筋より注入し、逆行性遺伝子導入を行なった。圧迫部位に位置する脊髄前角細胞群にBDNF, NT-3遺伝子導入が確認され、いずれのベクターも、Nissl染色、ChAT免疫染色、AchE染色いずれにおいても細胞保護効果が認められた。またTunnel染色でアポトーシス抑制をも確認し得た。
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