研究概要 |
四肢に発生する転移性骨腫瘍は骨の強度を低下させ骨折の危険度を増す。それに対して低侵襲で有効性の高い治療法の開発はQOLを維持するのに重要である。補助療法として独自に磁性体温熱療法およびアクリジン光線力学療法を開発しその有効性を検討した。 磁性体温熱療法を転移性骨腫瘍患者15人17肢(男性8人,女性7人)に行った。原発がんは肺癌4人,軟部肉腫2人,肝癌2人,腎癌2人,その他5人で,転移部位は上腕骨7例,大腿骨4例,脛骨2例,その他2例である。術後患肢機能評価(MSTS評価法)は良好で,温熱負荷時に軽度の疼痛を認めた以外に合併症は認めなかった。X線評価でも豊富な骨形成がみられ,骨転移部位の安定性は極めて良好で,コントロール群に比較して有為にすぐれていた。また,放射線併用群と同等の効果を示した。アクリジン光線力学療法を併用することにより極めて低侵襲で安価で安全性の高い治療が可能であることが示された。 動物の骨転移モデルにおいて,骨転移を来たした骨や後根神経節でカプサイシンの受容体が亢進していることが明らかとなった。H2ブロッカーが受容体の発現を抑制することが示され,今後の疼痛対策に応用できる可能性を示唆した。
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