研究課題/領域番号 |
18390414
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40273502)
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研究分担者 |
中村 孝志 京都大学, 大学院医学研究科, 教授 (10201675)
青山 朋樹 京都大学, 再生医科学研究所, 助手 (90378886)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 癌化 / 突然変異 / メチル化 / 発現誘導システム |
研究概要 |
29例の間葉系幹細胞の初代培養実験より次の結果が得られた(Shibata, et al.投稿中) 1)培養初期の平均テロメア長が継代回数を規定する因子であった。 2)年令と継代回数の間には正の相関があったが、平均テロメア長との関連性は無く、年令の影響はテロメア長以外の因子が関与している可能性が示唆された。 3)29例中25例では継代とともにp16遺伝子の発現が初期の低値から上昇した。 4)p16遺伝子陽性細胞はSAβ-gal陽性、Ki67陰性であり、細胞老化と強い相関を示した。 5)細胞老化に陥った状態の細胞においてsiRNAを用いてp16遺伝子発現を抑すると、増殖能が復活し、細胞老化から逸脱できた。 6)29例中2例では、一旦亢進したp16遺伝子の発現が消失し、そのまま低値が維持された。2例では初期より低値のまま維持された。これらの4例においてp16遺伝子プロモータ領域にメチル化が生じていることが判明した。 7)p16遺伝子のメチル化が生じた4例中1例は300日以上の培養継続が可能であり、核型解析では相互転座が発生していた。 9)肉腫関連融合遺伝子のうち、SYT-SSX及びTLS-CHOP融合遺伝子の解析を行ったところ、変異は検出されなかった。 10)ヌードマウス移植により造腫瘍性を獲得したものは認められなかった。 以上の結果から、初代培養MSCの形質転換に関連する遺伝子変異として、p16遺伝子のメチル化は発生しうる変異であり、監視システムにおける対象遺伝子として適切なものであることが判明した。この結果に基づいて、現在、Methylation Specific PCR(MSP)法と定量的PCR解析法を組み合わせた鋭敏なメチル化検出方法を構築し、標準的評価法としての意義を検証している。
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