研究課題
骨形成因子(BMP)は軟骨形成に必須である。BMPの細胞内シグナルは、主にSmad経路が伝達し、Smad6/7はこの経路を抑制する。またBMPはMAP kinase(MAPK)経路も活性化する。本年度はBMPによって誘導される軟骨形成におけるSmad6/7の役割を解析した。[方法]凝集間葉系細胞と軟骨細胞に特異的にSmad6、Smad7を過剰発現させたトランスジェニックマウス(Tg)を作製した。胎生12.5日のマウス肢芽間葉系細胞を調整し、BMP2存在下でmicromass培養を行い軟骨様結節を誘導した。この結節形成はTGF-b inhibitorであるSB431542を添加しても抑制されず、BMPで誘導されたと考えた。[結果と考察]Smad6 Tgでは軟骨は形成されたが、Smad7 Tgでは軟骨の形成が抑制された。micromass培養において、Smad6 Tgの肢芽間葉系細胞ではBMPで誘導される軟骨様結節が正常に形成された。一方、Smad7 Tgの肢芽間葉系細胞ではこの結節形成が著しく障害され、Sox9の発現が低下していた。BMPで誘導される軟骨様結節の形成は、MAPキナーゼ経路の阻害剤を加えた場合に抑制されたことから、この形成にはMAPK経路が関与すると考えた。MAPK経路のdownstream targetであるATF2のリン酸化は、アデノウイルスを用いたSmad7の過剰発現によって抑制されたが、Smad6の過剰発現では抑制されなかった。これらの結果から、Smad7はMAP kinase経路を抑制することで、BMPによって誘導される軟骨様結節の形成を阻害すると考えた。[結語]Smad7の過剰発現によりTgの軟骨形成は阻害される。その原因として、BMPによって活性化されるMAPK経路のSmad7による抑制を考えた。
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