(1)骨軟部肉腫細胞からがん幹細胞様細胞の単離精製法の研究 骨肉種細胞株と軟部肉腫細胞株を用いて幹細胞特異的性質の有無を解析した。 現在までに正常幹細胞で発現が多いとされている遺伝子の発現をフローサイトメトリーを用いて解析を行った結果、数種の骨肉種細胞株と1種類の軟部肉腫細胞にて幹細胞特異的遺伝子の発現を確認した。さらにその遺伝子の発現量の違いを利用して遺伝子発現量の少ないmain population (MP)の細胞群と遺伝子発現量の多いsmall population (SP)の細胞とに分離することを可能とした。 (2)がん幹細胞特異的性質の解析 SP細胞ががん幹細胞としての性質を持っているかをフローサイトメトリーを用いて分離した後に解析を行った。SP細胞とMP細胞の腫瘍形成能力の違いを検討するために分離後に少量の細胞をヌードマウスに移植して腫瘍形成能力の違いを検討した。その結果SP細胞はMP細胞と比較して腫瘍形成能力が高いがん幹細胞様性質を有していることが示唆された。現在その詳細を検討中である。 (3)がん幹細胞様細胞の維持増殖機構の解明 幹細胞特異的遺伝子の発現量の違いにより分離されるがん幹細胞様の細胞が骨軟部腫瘍細胞株中に維持・増殖するメカニズムの解析を行った。現在までに正常幹細胞で発現が多いとされている遺伝子の発現をinhibitor等で阻害することによるSP細胞の割合を検討することによりがん幹細胞様細胞の維持・増殖メカニズムを検討中である。またSP細胞とMP細胞との遺伝子発現量の違いを定量的RT-PCRを用いて解析を行っている。
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