研究課題/領域番号 |
18390422
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90248576)
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研究分担者 |
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
沖本 信和 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (70330991)
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キーワード | VEGF / flt-1 / 骨芽細胞 / 骨形成 / 破骨細胞 / 骨吸収 / 代謝回転 / 骨量 |
研究概要 |
我々は、マウス脛骨の骨と骨髄にドリルで穴をあけ、その修復過程における骨形成系細胞と血管系細胞のシグナルのクロストークについて調べてきた。今年度は、骨・骨髄損傷部修復過程の経時的変化を組織学的および分子生物学的に解析した。損傷後3日目、von Willebrand factorが陽性である新生毛細血管細胞の近くに、アルカリフォスファターゼ陽性細胞が多数出現した。骨芽細胞分化と血管系因子との関連性が示唆された。骨・骨髄損傷後の髄内仮骨において、VEGF(vascular endothelial growth factor)とその受容体であるFlt-1タンパクは骨梁表面の骨芽細胞と血管内皮細胞の両方に発現していた。しかし、VEGFのもうひとつの受容体であるFlk-1タンパクは血管内皮細胞にのみ発現していた。VEGFには3つのsplicing isoform(120、164、188)がある。髄内仮骨の骨芽細胞は損傷後1日目からVEGF120とVEGF164を、損傷後5日目からVEGF188を発現しはじめた。VEGF188の発現開始時期と同期してosteocalcin mRNAの発現が認められた。 骨代謝動態におけるVEGF/Flt-1シグナルの役割を明らかにするために、flt-1のtyrosine kinase domainを欠損させたマウス(flt^<TK-/->)の骨代謝動態について調べた。flt^<TK-/->は正常に生まれ、外観や行動、体重は、wild typeマウス(WT)と差がなかった。脛骨近位海綿骨量(BV/TV)はflt^<TK-/->はWTと比べて低下傾向はあるものの有意差はなかった。flt^<TK-/->では、骨形成率(BFR/BS)は低下し、破骨細胞面(Oc.S/BS)は減少した。VEGF/Flt-1シグナルを遮断することにより骨代謝回転が低下することが明らかとなった。
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