研究課題/領域番号 |
18390427
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
福田 悟 帝京大学, 医学部, 教授 (30116751)
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研究分担者 |
高田 真二 帝京大学, 国際教育研究所, 講師 (90226788)
大島 勉 帝京大学, 医学部, 助教授 (50223805)
森田 茂穂 帝京大学, 医学部, 教授 (60143476)
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キーワード | 視床下部 / 睡眠・覚醒中枢 / ラット / 脳虚血 / レム睡眠 / ノンレム睡眠 / 脳波 / 筋電図 |
研究概要 |
視床下部は睡眠・覚醒の制御に深く関与すると言われ、視床下部前部は睡眠中枢、後部は覚醒中枢として知られている。また、視床下部外側〜後側にかけてはオレキシン細胞が分布し覚醒系伝達物質と睡眠系伝達物質の放出の制御に関与していると言われている。本年度は、ラット脳深部虚血モデル(Stroke 30:2743,1999)を用いて、これら視床下部神経核が障害された時にどのように睡眠・覚醒サイクルに変化を及ぼすかを検討した。230〜250gの雄ラットを90分脳虚血群とSham群の2群(各n=5)とした。イソフルラン麻酔後、脳波電極を頭蓋骨に、筋電図電極を項部筋に装着した。90分脳虚血群では、シリコンコーティングしたナイロン糸(4-0)を内頸・外頸動脈分岐部より15-16mm挿入し、90分後ナイロン糸を抜去した。Sham群では同様の外科的操作を行ったが、ナイロン糸は挿入しなかった。術後5-7日後、恒温・恒湿チャンバー内(25℃、60%)にて暗期(18時〜6時)と明期(6時から17時)での終日脳波・筋電図を記録した。脳波・筋電図は4秒ごとに解析し、覚醒期、レム睡眠期、ノンレム睡眠期の睡眠ステージを判定した。Sham群の覚醒期:睡眠期(レム睡眠期、ノンレム睡眠期)の割合(%)(平均±標準偏差)は、暗期では61.5±2.1:38.5±2.1(7.6±2.4、30.9±3.5)、明期では31.1±4.5:68.9±4.5(18.7±3.3、50.1±1.4)であり、齧歯類の夜間行動性が認められた。一方、90分脳虚血群では暗期は48.3±9.8:51.7±9.8(10.7±4.1、41.0±11.4)、明期では30.3±7.1:69.7±7.1(15.4±3.0、54.3±4.2)であり、sham群と比べ暗期における睡眠期の割合が有意に増加(p<0.02)した。一方、明期では覚醒、睡眠の割合は両群で有意差はなかった。以上の結果より、ラット深部脳虚血は暗期での睡眠期を増加することがわかった。現在、視床下部に存在する神経核と睡眠覚醒障害との関連を免疫組織学的に検索中である。
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