研究課題/領域番号 |
18390433
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
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研究分担者 |
青木 芳隆 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (30273006)
中井 正治 福井大学, 医学部, 助手 (50372496)
横田 義史 福井大学, 医学部, 教授 (50222386)
秋野 裕信 福井大学, 医学部, 助教授 (90159335)
棚瀬 和弥 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (00359720)
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キーワード | 過活動膀胱 / COX-2 / 遺伝子多型 / プロスタグランジン / 前立腺肥大症 / 脳血管障害 / 脊髄障害 / 尿失禁 |
研究概要 |
脳血管障害、脊髄疾患、前立腺肥大症、混合性尿失禁などの疾患を有する患者で、過活動膀胱の有無により2群にわけ、それぞれの患者ゲノムDNAサンプルを集めCOX-2遺伝子のプロモーター領域の塩基配列の決定を行う、また尿を採取し過活動膀胱との相関を検討する。これらの研究計画は本学倫理委員会にて承認された。本年度の成果を以下に示す。 1,過活動膀胱を有する患者から採取した尿を用い、prostaglandin (PG) E2の濃度を測定(Crで補正)すると、前立腺肥大症ではコントロールに比べ有意に高値であった。また前立腺肥大症などの下部尿路閉塞の動物モデルを用い「6chマグヌスシステム」によりPGの作用について検討した。その結果、このモデルではPGが過活動膀胱の病態を修飾していると思われた。 2,脳血管障害で過活動膀胱になっている患者では尿中PGE2の濃度は低値であったが、前立腺肥大症を合併している患者では高値となっていた。 3,脊髄疾患を有する患者でも、膀胱の高圧状態をもたらす因子、すなわち排尿筋外尿道括約筋協調不全、膀胱変形、膀胱コンプライアンス低下を有する群では尿中PGE2の高値がみられた。しかしこれらの因子を持たない群では尿中PGE2は正常範囲内であった。 下部尿路の機械的閉塞や機能的閉塞に伴い膀胱の高圧がもたらされる患者では膀胱壁で産生されるPGE2が尿中に増加する。このPGE2が膀胱知覚神経を刺激して過活動膀胱をもたらしている可能性を示唆している。しかし下部尿路閉塞が存在していても過活動膀胱の症状を呈さない患者も存在し、このような例ではPGE2の産生が低下している可能性、あるいはPGE2の活性が低下している可能性もある。これらの患者においてはCOX-2遺伝子多型が原因と考えられ、来年度の研究に期待がかかる。
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