研究概要 |
精子形成におけるNOの役割と男性不妊患者に対する新しい治療法開発のために、本年度は精細胞の分離とIn vitroでホルモン、cAMP、Growth factorおよびサイトカインなどの精細胞への影響について検討した。8週齢のラットあるいはマウス精巣よりElutriatorによる分画法を用い、Pachytene spermatocyte(精母細胞の初期段階)とRound spermatid(円形精子細胞)を分離し、無血清培養液で培養し、各実験を行った。はじめに各種ホルモン(FSH, hCG)、cAMP inducer(Forskolin)、Growth Factor(TNFαなど)やサイトカイン(IL-1α,IL-1β,IL-6など)により刺激し、精細胞から産生されるNO量をGriess法にて測定した。さらに、NOおよびNOS阻害剤の精細胞への影響の検討するためNO generatorとしてSodium nitroprusside、あるいはNOの産生を誘導したGrowth Factorおよびサイトカインを添加し、精細胞における各NO Synthase(iNOS, eNOS, nNOS)の蛋白レベル、mRNAレベルでの発現、Viability、アポトーシスならびにアポトーシス関連遺伝子の発現について検討した。また、NOS阻害剤(L-NMMA)を添加した場合の影響についても同様に検討を加えた。さらに、In vivoでNOの精細胞への影響を検討するためeNOSトランスジェニックマウスを作成した。C57BL/6雄マウスにendothelium-specific preproendothelin-1プロモーターを用いて、内皮細胞にbovine eNOSの発現を亢進させる(Ohashi et al, J Clin Invest, 1998)。そのマウスを交配させ、4週齢の時点で尾からDNAを抽出し、PCR法により、transgeneを調べheterozygousトランスジェニックマウスとwild typeマウスをそれぞれeNOS-Tg群、WT群とした。さらに、eNOS-Tg群では、数匹のマウスの精巣を摘出し、Western blotting法にて精巣内でのeNOSの発現の亢進を確認した。
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