研究概要 |
研究実績の概要 1、ヒト前立腺癌細胞表面のLPA受容体サブタイプの解析 ヒト前立腺癌細胞LNCaP、PC3、Du145および前立腺腺細胞PrEC、前立腺間質細胞PrSCよりmRNAを抽出し、リゾフォスファチジン酸(LPA)に対する4種の受容体LPA1,2,3,4の遺伝子発現レベルを定量的RT-PCR法にて測定した。その結果、LPA3(別称:edg7)はホルモン感受性LNCaP細胞でのみ高い発現を認め。LPA1(別称:edg2)は逆にホルモン非感受性PC3およびDU145で高く、LNCaPでは発現がほとんど認められなかった。また、LPA2は3種の前立腺癌細胞全てで発現し、LPA4はPC3で高い発現が見られた。 2、ヒト前立腺癌細胞におけるLPA合成酵素ATX/LysoPLDおよび類縁酵素AGKの発現解析 LPA合成酵素であり、がん細胞の遊走などに関与すると考えられるautotaxin(ATX:別称lysoPLD)の遺伝子発現はホルモン非感受性PC3とDu145で認められたが、ホルモン感受性LNCaP細胞では認められなかった。一方、ATXの類縁酵素で、がん細胞での高発現が報告されているアシルグリセロールキナーゼ(AGK)はLNCaP細胞で高い発現レベルを示した。 3、前立腺癌組織標本におけるATXのタンパク発現の解析 限局性前立腺癌にて根治的摘除を行った前立腺組織標本におけるATXのタンパク発現と局在を免疫組織化学的に解析した。ATXは96症例のうち86例(90%)の癌主病巣で発現していたが、発現強度はprimary Gleason patternに比例して(悪性度に比例して)有意に増強していた。一方、前がん病変であるhigh grade PINでは発現は微弱で、正常腺管は陰性であった。
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