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2009 年度 実績報告書

EBウイルス活性化による遺伝子発現変化と上咽頭組織がん化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18390456
研究機関金沢大学

研究代表者

吉崎 智一  金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)

キーワード上咽頭癌 / Epstein-Barrウイルス / LMP1 / ウイルス複製 / メチル化
研究概要

すべての上咽頭がん早期病変においてEBVがん遺伝子LMP-1およびEBERsが発現している。台湾における大規模前向き研究の結果、ウイルス増殖サイクルの活性化は上咽頭がん発症のリスクファクターであることが判明した。
昨年までに以下のことを解明した。
1) EBV膜蛋白1LMP-1は、転移促進の方向に誘導すること、EBERsはプロテインキナーゼR(PKR)を阻害して細胞の増殖能を促進すること
2) EBV潜伏感染細胞NPC-KTに対しウイルス複製サイクルを誘導することにより、細胞はがん化するどころか細胞死に至ること。
3) 上咽頭がん細胞株C666-1ではLMP1は、非常に少量しか発現していない。
4) 上咽頭がん細胞内のEBウイルスゲノムはメチル化を受けている。アザシチジンによる脱メチル化およびトリコスタチンAによるアセチル化により、p16などのヒト由来遺伝子発現が活性化された。しかし、いずれの処理によってもウイルス由来のLMP1発現は誘導されなかった。さらに、EBV複製再活性化も誘導されなかった。
最終年度である本年度は
ブチル酸ナトリウムでウイルス複製を誘導する前後のEBVLMP1のプロモーターメチル化の比較から、ウイルス複製により脱メチルかがおこり、複製直後のEBV感染細胞内のLMP1発現は複製誘導前のLMP1発現量よりも増加することが判明した。以上より、EBVLMP1発現は上咽頭がん発癌過程に密接に関与する。しかし、一度がん化した後のウイルス遺伝子発現はがん細胞にあまり影響を及ぼさないことが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Concurrent Intra-arterial Chemotherapy and Radiotherapy for Advanced Laryngeal Cancer2009

    • 著者名/発表者名
      Yoshizaki T, Kondo S, Wakisaka N, Murono S, Kitagawa N, Tsuji A, Nakashima M, Sanada J, Matsui O.
    • 雑誌名

      Ann Otol Rhinol Laryngol 118

      ページ: 172-178

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 再発性喉頭乳頭腫に対するシドフォビル治療2009

    • 著者名/発表者名
      吉崎智一, 辻亮, 室野重之
    • 雑誌名

      日本気管食道学会会報 60

      ページ: 344-347

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 思春期の頭頸部ウイルス感染症と頭頸部癌 -2種類のがんウイルスEBVとHPVについて-2009

    • 著者名/発表者名
      吉崎智一
    • 雑誌名

      耳鼻免疫アレルギー (JJIAO) 27

      ページ: 285-289

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗ウイルス剤シドフォビルによる喉頭乳頭腫治療2010

    • 著者名/発表者名
      吉崎智一
    • 学会等名
      第22回日本喉頭科学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      海峡メッセ下関 (山口県)
    • 年月日
      2010-03-04

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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