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2006 年度 実績報告書

Therapeutic Time Windowに基づいた虚血性難聴の治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 18390459
研究機関愛媛大学

研究代表者

暁 清文  愛媛大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00108383)

研究分担者 秦 龍二  愛媛大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90258153)
羽藤 直人  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60284410)
篠森 裕介  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60335908)
兵頭 純  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30423453)
キーワード突発性難聴 / 一過性虚血 / 治療の窓 / エダラボン / ジンセノサイド / 内耳低温療法 / 神経幹細胞 / GDNF
研究概要

突発性難聴の原因は現在も不明であるが、循環障害とする説が有力である。本研究では、長期生存可能な一過性内耳虚血の動物モデル(スナネズミ)を作成して虚血障害の病態解明を進めるとともに、therapeutic time windowに基づいた治療法の検討を行った。その結果、一過性虚血による内耳障害にはエネルギー不全によるダメージに加え、フリーラジカル多量発生に伴う細胞膜障害が起こることが示された。さらにコルチ器における内有毛細胞障害にグルタミン酸が関与するなど、部位により障害メカニズムは異なっていた。内耳障害の病態は虚血後の時間経過とともに変化した。内有毛細胞の障害は3日以内で停止するのに対し、ラセン神経節細胞の障害は4日以降も進行した。一方、血管条・ラセン靱帯の障害は可逆的で、虚血1日後や4日後では顕著な障害がみられたが、7日後にはほぼ元のレベルに回復した。これらの結果は虚血障害の治療を考える上で極めて重要な知見といえる。どのような治療も時期を逸すれば効果は限られる。突発性難聴に対しても"therapeutic time window"(治療の窓)を想定し、病変部位や病期に応じた治療戦略の構築が必要であろう。上記の病態を勘案して様々な薬剤や治療法の検証を行った。グルタミン酸拮抗剤であるDNQXは虚血前投与でのみ有効であった。フリーラジカル捕捉剤(エダラボン)は虚血1時間後に静注で、ジンセノサイドRb1は腹腔内投与で、効果がみられた。AdenovilusをベクターとしたGDNFは、虚血4日前に内耳に投与しておくことで障害が回避できた。神経幹細胞は虚血前日に鼓室階に注入しておくと障害は防御された。低体温(32℃)は虚血中に施行した場合だけでなく、虚血1時間後に開始した場合でも障害は軽減された。これらの結果は突発性難聴の新しい治療法を探索する上で重要な手掛かりとなる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Hematopoietic stem cells prevent hair cell death after transient cochlear ischemia through paracrine effects.2007

    • 著者名/発表者名
      Yoshida T, et al.
    • 雑誌名

      Neuroscience. 30・145(3)

      ページ: 923-930

  • [雑誌論文] Ginsenoside Rb1 protects against damage to the spiral ganglion cells after cochlear ischemia.2007

    • 著者名/発表者名
      Fujita K, et al.
    • 雑誌名

      Neurosci Lett. 26・415(2)

      ページ: 113-117

  • [雑誌論文] Localization of prosaposin in rat cochlea.2007

    • 著者名/発表者名
      Terashita T, et al.
    • 雑誌名

      Neurosci Res. 57(3)

      ページ: 372-378

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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