研究概要 |
片眼性網膜芽細胞腫の1歳患児より得られた摘出眼の半球から、角膜を輪部より切除し、デスメ膜とともに角膜内皮を分離した。TypeIV collagenでコートした30mm培養皿上に培養液(DMEM/F12(GIBCO 11320),15%FBS,20ng/ml bFGF)0.8mlで培養した。培養3日目には内皮細胞がデスメ膜より増殖し始め、7日目に継代し培養を継続した。P4にて、その遺伝子発現、蛋白発現、機能を解析した。RT-PCRにおいては、角膜内皮細胞に発現する、Na-k ATPase,SLC4A4,CLCN3,VDAC3の発現を認めた。DNA microarrayにおいて細胞膜能動的輸送、細胞骨格、細胞内小器官、細胞周期、細胞増殖等に関して遺伝子発現プロファイルを作成した。蛋白発現は、細胞が密になり、さらに角膜内皮の形態である多角形になったday40に免疫染色を行った。Tight junctionを染色するZo-1は、多角形の細胞間に一致して染色された。Na-k ATPaseは細胞全体が染色され陽性であった。内皮機能の分析は、Ussing chamberを用いた。簡潔には、小孔のある直径12mmのポリエステル膜をTypeIV collagenでコートし、その膜上で内皮細胞をシート状に培養した後、Na-K ATPaseの能動輸送によって生じる電流を測定するものである。結果、平均183mAの電流が測定され、培養細胞は、内皮細胞としての蛋白、遺伝子発現のみならず、ポンプ機能を十分に保持していることが確認された。
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