研究概要 |
前年度までに得られたケロイドマーカー分子候補に対して、転写因子Aと、分泌蛋白B、ならびにCについて、ケロイド細胞における過剰発現を目的としたプラスミドを作成した。ケロイド細胞には、現行のリポフェクタミンを用いた方法では、非常に導入効率が悪いため、レンチウイルスベクターを用いた発現系に切り替え、プラスミド作製をやり直したところ効率よく導入できることに成功した本年度はこの過剰発現効果についてreal time PCR、マイクロアレイ法により検討する。また、免疫不全マウスに、これらの細胞を移植する方法を検討したところ、平成19年度の検討では、シリンジによる注入が適しているような結果を得たが、この方法ではやはり移植細胞の散逸が見受けられ、再度、移植方法の検討を行った。その結果、移植床の作製にあたり剥離層を工夫することと、コラーゲンスポンジを細胞担体に遺伝子の過剰発現によるin vivoでの影響を検証することとする。また、インビトロジェン社のStealth RNAiを用いることにより、ケロイド細胞においてマーカー遺伝子のknock downを行うことに成功した。このうち、分泌蛋白Bのknock downにより、申請者らがケロイドにおいて過剰発現しいてる特徴的な遺伝子として報告した(Naitoh, et al. Genes Cells, 10. 1081-1091, 2005)遺伝子のうちのひとつが、発現低下することが判明した。今後、さらにこのknock downによる影響を検証するため、real time PCRにて検討を行うと同時に、in vivoでの影響を知るため、上記マウス移植モデルを用いて検証を行う。
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