申請者らは、ケロイドの本態を、「本来の分化系統から逸脱した異常な組織幹細胞が増殖したもの」、と捉えることを提唱した(Naitoh、Suzuki et al. 2005. Genes Cells. in press)。この新しい疾患概念に基づき、本研究では、(1) この異常幹細胞、すなわちケロイド幹細胞を単離、同定すること、(2) ケロイド幹細胞の分子発現パタ-ンを解析し、これをもとにケロイド幹細胞の特徴を明らかにし、マ-カ-分子を決定すること、(3) 組織幹細胞が、なぜ正常分化系統から逸脱するのか、そのメカニズムを解明し、トリガ-となる分子候補を同定すること、(4) 単離・同定したケロイド組織細胞をヌ-ドマウスに移植し、ケロイドモデル動物を作製する。(5) in vitroならびに上記モデルマウスの系を用いて、トリガ-分子候補の中から、根治的療法のタ-ゲットとなりうる分子を同定する。以上5点を、申請期間内に遂行することを目標とする。本研究は、ケロイド発生機構の解明とマスタ-ジ-ンの同定を実現し、難治性疾患であるケロイドの根治的療法開発を目指すものである。
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