研究分担者 |
泉 友則 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00261694)
笠岡 俊志 山口大学, 医学部附属病院, 助教授 (90243667)
小泉 博靖 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (40423389)
鶴田 良介 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30263768)
小田 泰崇 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (40397998)
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研究概要 |
本臨床研究では重症頭部外傷患者において、中枢神経障害のメカニズムと軽度低体温療法の効果をプロテオーム解析により蛋白質レベルで解明することを目的とした。重症頭部外傷患者(Glasgow Coma Scale ; GCS 3〜8)常温治療群を対象に、6ヶ月後の予後をGlasgow Outcome Scale(GOS)で予後良好群と予後不良群に分ける。また軽度低体温群においても同様にGOSで分け、最終的には4群間で経日的に比較する。これらの患者で生理学的諸量をモニターし、脳脊髄液(CSF)、内頚静脈血、動脈血、脳微小透析液(脳微小潅流・透析・解析システム購入)などを採取した。採取した試料は氷水中のスピッツに入れ、5℃冷却遠心後に-40℃で分析まで保存している(スコッツマン製氷器購入)。 1.代表症例の選定 今までに得られている症例で本年度は予後良好群と予後不良群でCSF中の各種サイトカイン (IL-2,IL-4,IL-8,IL-10,TNFα,IFγ,GMCSF)をビーズアレイ法で測定し、各群の代表例を選定した。 2.脳脊髄液(CSF)蛋白質の大規模同定 二次元液体クロマトグラフィーと質量分析機を組み合わせたショットガン法でCSF蛋白質の網羅的大規模同定法を確立するために、蛋白質解析プログラム(蛋白質同定MASCOTシステム)を購入した。患者CSFで既知の高濃度蛋白質を抗体アフィニティーカラムで除去し、アセトン沈殿で濃縮後に変性、還元アルキル化、トリプシン消化をした。この時点で対照群、予後良好群、予後不良群のサンプルを同位体元素でラベルし、プロテオーム解析では難しい各蛋白質の増減判定を可能とするiTRAQ法を導入した。このサンプルをナノフロー二次元液体クロマトグラフィー(Q-tofultima)を組み合わせた全自動蛋白質解析システムにより分析した。ペプチドおよび内部断片の質量情報を取得し、アミノ酸配列データーベースと検索エンジン(MASCOT)により網羅的蛋白質同定を行い、約300種類の蛋白質が同定でき、このうち、220種類の定量情報付の蛋白質が得られている。これらの蛋白質につき特徴付けを行い、脳障害蛋白質のデーターベース化の一部資料が得られた。 平成19年度は症例数を増やすとともに、平成18年度にほぼ確立できた網羅的蛋白質解析法により、上記4群間の比較を行い、アノテーション情報により重症頭部外傷患者に特異的な候補蛋白質を選択し、個々の症例で存在の有無を確認する。
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