研究課題
本研究課題の目的は、口腔組織の毛細リンパ管における機能分子発現機構が、口腔組織以外の組織における毛細リンパ管と如何なる点で異なっているのがを明らかにすることにある。<In vivoの検索>前年度の検索では、健常および炎症ヒト舌組織におけるToll-like receptor(TLR)2およびTLR4の発現を明らかにしたが、本年度はさらに詳細な検索を行い、以下の成果を得た。1. 健常および炎症舌組繊におけるTLR発現は、結合組織乳頭部の毛細リンパ管に限局し、粘膜固有層の集合リンパ管では認められなかった。2. 舌悪性腫瘍組織では、多くのリンパ管が腫瘍部位に存在し、TLR2およびTLR4の発現が認められた。3. 健常および炎症歯肉組織においても舌組織と同様に、結合組織乳頭部毛細リンパ管に限局してTLR2およびTLR4の発現が認められた。4. 歯肉組繊毛細リンパ管においてlymphotoxin(LT)β受容体(βR)の発現が認められた。<In vitroの検索>1. 市販ヒト皮膚および肺リンパ管内皮細胞(lymphatic endothelial cell: LEC)においてLTβRの発現が恒常的に認められた。また、LECにLTα1β2を作用させると、転写因子nuclear factor-kappaBを介したcys-cys chemokine ligand 21産生の増大が認められた。2.In vinoの検索から、舌および歯肉組織こおいてもTLRの発現が認められたため、これらのLECの分離が必要となった。Dynal社の免疫磁気ビーズによる細胞分離システムにより、混合培養した細胞群から市販のLECのみを分離することには成功しているが、舌および歯肉組織の絶対数が少ないため、現在も検索中である。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The journal of histochemistry and cytochemistry 56(2)
ページ: 97-109