研究課題/領域番号 |
18390486
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
程 くん 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (40207460)
丸山 智 新潟大学, 医歯学系, 助手 (30397161)
鈴木 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50107778)
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キーワード | 口腔癌細胞 / 浸潤 / 間質誘導 / スイッチング / 蛍光抗体法 / 細胞外基質 / レーザチャプチャー / RT-PCR |
研究概要 |
上皮口腔癌細胞の浸潤とは腫瘍性間質の誘導と同義であり、間質成分産生の担当が上皮内癌の癌細胞から浸潤癌の間質線維芽細胞に変更されることを仮説として以下の実験をおこなった。 (1)細胞培養:ヒト舌扁平上皮癌由来ZK-1細胞、唾液腺腺様嚢胞癌由来ACC2/ACCM細胞と乳児口腔腫瘍由来線維芽細胞の初代培養細胞ほか各種線維芽細胞を共培養した。共培養は直接ならびに間接接触の二系統をトランスウェル等の培養皿を用い、播種後集密化まで約10日間複数系列で継続し、24時間毎に、固定、レーザキャプチャー・マイクロディセクション(以下LC-MD)法による細胞回収、RNA抽出し、基底膜型HSPG・パールカンをはじめとする各ECM分子の発現を各癌細胞と線維芽細胞系細胞とで比較検討した。 (2)レーザキャプチャー・マイクロディセクション法による細胞組織の選択的微小切り出し回収:前項のように準備した組織切片ならびに培養細胞を、LC-MD装置によって、実質と間質との界面域を中心に、癌細胞と間質細胞とを分離してそれぞれ回収し、RNA抽出実験に供する技術を確立した。 (3)免疫およびハイブリッド組織細胞化学的実験:上記組織切片ならびに経時的に固定された培養細胞系列について、HSPGおよびFNの細胞外基質分子に対する抗体を用いた酵素抗体法あるいは蛍光抗体法によって共焦点レーザ顕微鏡上で細胞内外の三次元的局在様式を観察した結果、癌細胞と線維芽細胞の接触によって、癌細胞における細胞外基質分子局在が低下して、線維芽細胞におけるそれが上昇するスイッチング現象が確認された。 (4)細胞外基質、受容体の遺伝子発現レベルの確認 上記(3)項により抽出されたRNAよりcDNAを調製し、パールカンほかのECM分子とINT各鎖について逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法により各断片のcDNAを増幅してリアルタイムに定量をおこなったところ、上記(3)項の形態学的結果が遺伝子レベルでも確認された。したがって、間質誘導のスイッチング機構の仮説が概略証明された。
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