研究分担者 |
寺尾 豊 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (50397717)
中田 匡宣 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90444497)
住友 倫子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50423421)
岡本 成史 医薬基盤研究所, 基盤研究部, 研究員 (50311759)
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研究概要 |
A群レンサ球菌(GAS)は,皮膚や上気道における化膿性疾患の原因菌として,また近年では致死性の高い侵襲性および劇症型GAS感染症の起因菌として注目を集めている.その病原性に関与する因子が多岐にわたることから,病態発症のメカニズムは完全には解析されておらず,効果的な治療法あるいは予防法の確立を見ていない.申請研究では,GASの付着・侵入因子であるフィブロネクチン(Fn)結合タンパクの同定ならびに詳細な機能解析を行い,上皮細胞バリアを超えて組織内に侵入するメカニズムを解析し,予防法の基盤を築くことを試みた.はじめに,血清型M1およびM3のGASゲノムデータベースから,それぞれ黄色ブドウ球菌のフィブロネクチン(Fn)結合タンパクFnBPAと相同性を有するFbaA,およびGASのFn結合タンパクPrtF2と相同性を呈するFbaBを同定した.続いて,これらFn結合タンパクの組換え体(rFbaAおよびrFbaB)の発現プラスミドを構築し,宿主大腸菌内で発現させた.精製rFbaAおよびrFbaBは,ビオチン標識したFnを用いたリガンドブロット分析およびFnとの生体間分子相互作用解析の結果から,Fnと結合することが示された.さらに,fbaAおよびfbaB遺伝子を欠失させた変異株を作製した.M1野生株とfbaA欠失株,およびM3野生株とfbaB欠失株のそれぞれ組み合わせで,ヒト咽頭上皮由来のHEp-2細胞株に感染させ,GASの細胞付着・侵入率の差を計測した.その結果,M1およびM3型菌は,ともにFn結合タンパクの不活化により,有意に付着・侵入率が低下することが示された.最後に,FbaAおよびFbaBのマウスを用いた感染防御実験から,FbaAおよびFbaBの感染防御抗原としての有効性を示した.
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