研究課題/領域番号 |
18390493
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
細井 和雄 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10049413)
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研究分担者 |
金森 憲雄 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (90064865)
赤松 徹也 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (80294700)
姚 陳娟 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (20432750)
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キーワード | アクアポリン / 唾液腺 / カテプシン / 副交感神経 / 塩酸セビメリン / MDCK細胞 / トラフィッキング / GFP-AQP5キメラ分子 |
研究概要 |
アクアポリン(AQP)は微生物から動植物まで広く分布するセルペンチン型膜蛋白質、水チャネルである。生体膜を隔てた水移動(水輸送)はAQPにより浸透圧勾配依存的に行われる。哺乳動物ではこれまでに13種のAQPがクローニングされ、構造上の相同性からこれらはファミリーであることが知られている。(1)唾液腺は交感及び副交感神経の二重支配を受けているため、これら自律神経により唾液腺AQP5の発現が調節されている可能性が考えられた。この可能性を明らかにする目的で実験を行った。AQP5の蛋白質レベルは顎下腺を支配する副交感神経の切除により減少し、この減少はM3ムスカリンアゴニストである塩酸セビメリンの投与により回復した。また副交感神経切除はリソゾーム酵素、カテプシンB、D/E、Eの活性を上昇させ、塩酸セビメリンの投与はこの上昇を抑制した。さらにリソゾームの変性剤、クロロキンの投与は副交感神経切除によって減少したAQP5の蛋白質含有量を回復した。以上のことは副交感神経切除/塩酸セビメリン投与によるラット顎下腺AQP5の発現レベルの変動はmRNAの転写レベルによるものではなく、リソゾーム酵素系により制御されている可能性を示すものである。(2)SDラットにおいてAQP5遺伝子の膜貫通領域にポイントミューテーションが存在し、AQP5蛋白質の^<103>Gly>^<103>Aspへの変異が存在する事を見いだした。このラットの唾液腺においては腺房細胞腺腔側膜におけるAQP5の発現が著しく低下し、同時に水分泌機能も低下していた。野生型および変異型のAQP5にGFPを結合させたキメラ分子を極性のあるMDCK細胞に遺伝子導入し、その動態を観察すると、48時間以上の培養で野生型GFP-AQP5は腺腔側へ移動(トラフィッキング)したが変異型GFP-AQP5はトラフィッキングしなかった。
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