研究概要 |
破骨細胞は骨芽細胞やstromal cellからRANKL刺激を受けてmonocyte-macrophage系の前駆細胞から分化してくる。この分化の機序についての研究はRANK-RANKL系の発見以後急速に進歩をしてきており、RANK-RANKL系以外にもTNFαや免疫系のシグナルの関与も明らかになってきたが、これまでの研究は主としてシグナル伝達から転写調節因子を中心に行われている。近年、遺伝子発現の調節には転写調節因子以外に、エピジェネティックな染色体の構造変化が重要であることが示唆されていると共に、miRNAによる翻訳調節も重要であるということが報告なされつつある。本研究では、破骨細胞の分化においてもmiRNAによる翻訳調節が重要な役割を果たしているという仮説のもとに、分化段階の異なる細胞からそれぞれに特異的に発現しているmiRNAを分離同定し、その標的遺伝子の特定を行う予定である。 18年度はマウス頭蓋骨より得た骨芽細胞画分と骨髄細胞の共存培養による破骨細胞の分化誘導系を本研究に用いた。すなわち、マウス頭頂骨の骨芽細胞を1α,25(OH)_2D_3とプロスタグランジンE_2存在下でコラーゲンゲル上で1日培養し、新しく調製した骨髄細胞をこれに加えてさらに2,5日間1α,25(OH)_2D_3とプロスタグランジンE_2存在下で培養した。この間に分化していく破骨細胞中において発現が増減するmiRNAの検索をAmbion社製の「mirVanaTMmiRNA array system」を用いて解析を行った。その結果、十数種類のmiRNAに変化が認められた。19年度はこれらのものについて、個々に解析を行っていく予定である。
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