研究概要 |
【目的】プラズマ処理によるエンドトキシンの不活化効果について検討した. また, プラズマ活性種の滅菌機序や滅菌効果を推察する一助として, プラズマ処理後の芽胞形態を検討した. プラズマ処理は工業用プラズマアッシング装置(PACKIII, ワイエイシイ)を用い, 同軸電極, 出力150W, チャンバー温度60℃を基本条件とし, キャリアガス(O_2、N_2、O_2+H_2O, H_2O), ガス圧(9〜100Pa)をパラメータとして, 10分間処理した. 【方法】1. 表面改質したガラス製バイアルに, LPS(55000 EU, E coli 055 : B5, 和光純薬)を10μl滴下し, 37℃で60分乾燥したものを試料(550EU/バイアル)とした. プラズマ処理後, 試料に1mLの注射用水(日本薬局方, 大塚製薬)を加え2分間ボルテックスミキサーで撹拌し、リムルスESIIシングルテスト(和光純薬工業)とトキシノメーターET-5000(和光純薬工業)による比濁時間分析法によって残留エンドトキシンを測定した。2. 3種の芽胞(B. Stearthermo pylus, B. Megaterium, B. Cereus)を, 表面改質したスライドグラスあるいはステンレス板に5μl滴下し乾燥した後, プラズマ処理して, 位相差顕微鏡(オリンパス, BX51)とマイクロスコープ(VC7700R, オムロン)を用いて観察した。【結果】1. 残留エンドトキシン量は, 0_2ガス, ガス圧18Paの処理条件で最小値を示し, 処理前より4桁減少した. N_2、O_2+H_2O, H_2Oプラズマでも3桁の減少がみられ, プラズマ処理はエンドトキシンの実用的な不活化法になり得ると推察された. 2. N_2プラズマ処理では、一部の芽胞で断裂した像が認められ, O_2や"O_2+H_2O"プラズマ処理では, 芽胞の縮小化と細胞の断片が認められ, ガス種により滅菌機序が異なることが明らかとなった.
|