研究概要 |
・表面抗原発現について 当研究室においてが樹立したヒト歯根膜前駆細胞株(1-11細胞株)は、CD13,CD29,CD44,CD71,CD90,CD105,CD166を有意に発現していたが、CD18,CD34の発現はほとんど検出されなかった。また同様にヒト歯根膜細胞間細胞株(1-17細胞株)においてもCD13,CD29,CD44,CD71,CD90,CD105,CD166を有意に発現していたが、CD18,CD34にっいてはほとんど検出されなかった。さらに各々の細胞株は分化段階が異なっていることから、発現遺伝子の差異を見るためにcDNAマイクロアレイにて解析を行ったところ、1-11細胞株においてCD37ならびにCD83の発現が促進しており、一方CD99ならびにCD9の発現は抑制されていることが明らかとなった。以上のことから、歯根膜細胞の前駆細胞のマーカーの候補として、未熟な細胞のマーカーであるCD13,CD29,CD44,CD71,CD90,CD105,CD166に加えて、CD37ならびにCD83があげられることが示唆された。 ・歯根膜組織再生に関わる因子の検出 歯根膜細胞は通常口腔内において咬合力という付加がかかった条件下でその恒常性が維持されていることから、初代ヒト歯根膜細胞(HPLF)に適当な伸展力を負荷し、HPLFにおいて発現する遺伝子について検討した結果、AngiotensinII(ANG II)、TGF-betaそしてalkaline phosphatase(ALP)の遺伝子発現が促進することが確認された。っぎにANG IIを負荷をかけていないHPLFに投与したところ、負荷がかけられた時と同様に TGF-betaおよびALPの発現が促進した。さらにこれら一連の反応はANGIIのレセプターであるAT2のプロッカーによって阻害されることが明らかになった。以上の結果から、歯根膜の恒常性の維持にはANG IIが関与している可能性が示唆された。
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