研究課題/領域番号 |
18390509
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宇尾 基弘 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (20242042)
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研究分担者 |
朝倉 清高 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (60175164)
亘理 文夫 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70158682)
横山 敦郎 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20210627)
赤坂 司 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (00360917)
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キーワード | XAFS / チタン / ニッケルチタン合金 / 溶出 / 化学状態 / X線吸収微細構造 |
研究概要 |
本年度では生体組織中の一部に微量存在する溶出微量金属元素や微小異物などをXAFS法により同定・状態分析するため、X線強度を低下させることなく100〜10μmレベルに集光し、任意の微小領域のXAFS測定を可能にする集光光学系の設計・試験するとともに、チタン・ニッケルチタン合金の生体組織内での微量溶出を動物実験により試験し、XAFS測定により溶出元素の生体内での状態を評価した。 放射光の集光系についてはポリキャピラリーと呼ばれる複数のガラス細管の先端を絞ることで細管内でX線が全反射することにより50μmまで集光できる装置を特注し、評価した。本方法ではキャピラリーの光軸の調整が極めて困難であり、次年度以降に予定しているX線を照射しながら遠隔操作で光軸調整が可能な電動ステージの作製が必要不可欠であることが判明した。 またチタン、ニッケルチタン合金を動物の皮下に長期間埋入し、その周囲の組織を採取して放射光を用いたXAFS測定により、溶出元素の有無とその化学状態を評価した。チタンの場合には微量の二酸化チタン様の溶出物が確認された。チタンについてはヒトの歯科用インプラント(純チタン製)の周囲組織についても調査を行い、インプラント時に発生したと思われる金属チタン粒子以外に二酸化チタンとして存在するものも検出された。二酸化チタンの由来としては生体内で溶出したチタンが化学的に安定な酸化物として析出した可能性が考えられる。ニッケルチタン合金ではニッケルの明瞭な溶出が確認された。溶出したニッケルは主としてニッケルイオンの状態で組織中に存在することが判明し、これは過去の研究で純ニッケルを埋入した場合と同じであることが分かった。これよりニッケルチタン合金では僅かではあるが生体内でニッケルが溶出する可能性があり、その影響に留意する必要があることが判明した。
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