研究分担者 |
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30050058)
山本 敏男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107776)
長岡 紀幸 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70304326)
伊藤 嘉浩 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 研究員 (40192497)
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研究概要 |
本研究では,光反応性ゼラチンによるチタン表面への生体分子の固定法を確立することを目的とする。本年度は,チタン表面に種々の前処理を施し,その効果を検討した。 1)チタン表面前処理の影響(特許出願のため詳細な処理法は割愛) 紫外線硬化型の光反応性ゼラチンをチタン表面に強固に接着させるため,まず,チタンに対して種々の前処理を施した。その表面に光反応性ゼラチン水溶液をキャストし,乾燥後,光マスク存在下で紫外線を照射した。光マスクにより紫外線を遮蔽された未硬化の光反応性ゼラチンは,チタン基板を水洗することにより除去した。得られたチタン表面について,アフリカミドリザル腎臓細胞COS-7を用い細胞接着特性を評価した。その結果,光マスクにより遮蔽され,水洗により光反応性ゼラチン除去した部位に対してCOS-7が選択的に接着し,COS-7は光反応性ゼラチンをUV固定した部位には接着していなかった。 2)光反応性ゼラチンの細胞接着性の確認 光反応性ゼラチンをチタン表面に強固に接着するため,シランカップリング材であるn-ocradecyltrimethoxysilane (ODS)で処理したチタンの上に光反応性ゼラチンをマイクロパターン状に固定し,COS-7の接着特性を評価した。その結果,COS-7は光反応性ゼラチンをUV固定した部位に選択的に接着した。 以上の結果より,未処理チタンに比べて光反応性ゼラチンを固定した部分に対して,よりCOS-7は接着するが,研究代表者らの有するシーズを併用してチタン表面を前処理し,光反応ゼラチンを洗浄除去した場合,ゼラチンをも凌ぐ細胞接着能を有するチタン処理面となることが明らかとなった(特許出願のため詳細は割愛)。本年度の研究成果は,生体親和性に優れた新たなチタン表面処理法につながるものと確信する。
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